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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.オスグット

【Osgood-Schlatter病】

<特徴>
・成長期のスポーツ障害
・脛骨粗面に骨端核が存在する時期での、大腿四頭筋の牽引刺激により発症
・身長最大発育量年齢の前後1~2年に発症(鈴木-2006)


<力学的成因>
・身体重心の後方化により、運動時の膝関節伸展モーメントが大きくなる


<上半身質量中心の後方化>
1)足背屈制限・足圧中心の前方移動の制限
 →MP関節屈曲制限
  足趾伸展筋群短縮
  前脛骨筋・足内転筋力低下
 
 ・片側罹患例の62.5%で、患側下腿三頭筋の柔軟性低下(鈴木-2006)

2)股関節屈曲・上半身重心の前方移動の制限
 →骨盤後傾、腰椎後弯 → 大腿直筋の過緊張

 ・健側に比べ優位に大腿四頭筋緊張度が陽性(池田-1999)
 ・深層筋収縮能力、大腰筋収縮能が必要(福井勉-2003)


理学療法
・骨盤前傾、腰椎前彎の獲得、大腰筋および腹横筋のエクササイズ(福井勉-2003)


<経過>
・スポーツ活動を4~6週間休止にて
 →90.1%がスポーツに復帰
 →ossicleを形成せずに骨性の修復がなされた(平野-1998)

・安静保存で88.1%が良好
・ossicleを形成した14例が摘出術を受けた(Mital-1980)


<外科的治療>
・ossicleの摘出術に加え、脛骨粗面の骨隆起の切除を行い、滑液包があれば切除を追加(菅原-2008)
・37膝の全例で3ヵ月後に自覚的競技能力の改善が認められた(松岡-2001)
・67例で、術後2.2年で83.6%が優良の成績(Orava-2000)


手術例もあるようですが術後の方を見た経験はありません。
大腿四頭筋のストレッチを教わってくる方も多いのですが、痛い場合は無理してしないほうがいいと思います。