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.OI1-021「肘関節伸展運動における肘後方脂肪体の・・・

OI1-021「肘関節伸展運動における肘後方脂肪体の超音波動態観察よりみた後方インピンジメントの病態考察」 林 典雄
第46回日本理学療法学術大会 2011年

後方インピンジメント発生の好発域である30° 屈曲位からの終末伸展運動における肘後方脂肪体の動態について検討。

後方脂肪体は滑膜の外側で肘後方関節包を裏打ちする形で存在。

後方脂肪体は、肘の伸展に伴い肘頭に押し出されるように
機能的に形態を変形させながら、
より背側、近位へ移動することが明らかとなった。

この脂肪体の移動は、
併せて関節包を背側近位へと押し出す結果となり、
後方関節包のインピンジメントを回避していると考えられた。

後方関節包自体の柔軟性はもちろん、
肘頭窩近位へ付着する関節包の癒着予防が
脂肪体移動を許容する上で重要。

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また、肘関節伸展終末域での前方の制限因子として林典雄先生は、

1)腕尺関節レベル
・上腕筋を主体とする周辺組織の瘢痕化。
・上腕筋は終末伸展時に一部の線維束は、
上腕骨滑車を乗り越えて内側に移動する。

→伸展に伴う、上腕筋の内側移動がポイント

2)腕橈関節レベル
・終末伸展では、腕橈関節関節包が、
上腕骨小頭の前方突出に伴い伸張される。
・この関節包には長橈側手根伸筋(ECRL)が付着。
・ECRLは伸展に伴い、約30°後外方へ移動。

→ECRLの収縮による関節包の伸張、
 伸展に伴うECRLの後外方への移動がポイント。

と報告されています。


伸展の前提として、回内外がしっかり取れているかは
抑えておきたいところです。