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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

PI1-003「肉眼的・組織学的手法を用いたヒト肩関節拘縮病態の観察」

PI1-003「肉眼的・組織学的手法を用いたヒト肩関節拘縮病態の観察」井上隆之
第46回日本理学療法学術大会 2011年 


四肢に重度拘縮を呈したご遺体の肩関節の肉眼的・組織学的観察。
拘縮肢位:
・肩甲骨:挙上35°伸展20°。
・肩関節:屈曲/伸展0°、外転20°、内旋80°。

肉眼的観察では、
・鎖骨下筋の全容が正面より観察できた。
・大胸筋と上腕二頭筋短頭の強い結合組織性の癒着。
上腕三頭筋長頭起始腱および脂肪体の著明な線維化。
・関節包、関節上腕靭帯の肉眼的観察による明らかな肥厚・線維化。

組織学的観察では、
・肩鎖靭帯の肥厚。
・腱板の線維化。
・肩甲上腕関節の関節包、関節上腕靭帯の弾性線維の減少。

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今回の症例は、内部疾患を主とした長期臥床による、
廃用性の肩関節拘縮例のため、
整形疾患による拘縮肩に直接当てはめることは出来ませんが
参考になります。

動かさなければ筋や関節包、靭帯などの
線維化、肥厚が進行しやすいことが考えられるため、
痛みや炎症を惹起しない程度に動かすことはやはり
必要になるでしょう。