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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

PI1-040「内側広筋の肉眼解剖学的観察 ̶変形性膝関節症との比較および大内転筋との関連性」

PI1-040「内側広筋の肉眼解剖学的観察 変形性膝関節症との比較および大内転筋との関連性」 高松 敬三
第46回日本理学療法学術大会 2011年


内側広筋(解剖実習体 28 体、内膝 OA4 体)

1)筋長     ・膝OA:29.1±1.4cm     ・非膝OA:31.0±3.2cm

2)筋厚     ・膝OA:1.3 ± 0.1cm     ・非膝 OA:1.8 ± 0.4 cm

3)筋幅     ・膝 OA:5.8 ± 0.5cm     ・非膝 OA:6.3 ± 0.9cm

4)筋横断面積
  ・膝 OA:18.0 ± 2.5 cm2    ・非膝 OA:25.3 ± 9.3cm2

5)筋体積   
  ・膝 OA:104.0 ± 20.6 cm 3  ・非膝 OA163.0 ± 76.5cm3



・膝 OA と非膝 OA の比較で有意差はなかったが、
膝 OA では非膝 OA と比して全てが小さい。

・膝 OA の筋体積の減少には筋厚の関与が高い。

・膝 OA では、膝蓋腱の弛み、膝蓋下脂肪体の萎縮、
膝蓋骨低位の傾向がある。

・内側広筋斜走線維(VMO) と大内転筋腱性部の筋線維角は
膝 OA と非膝 OAとも同じ角度で同じ方向へ走行している傾向。

・膝 OAにおいても大内転筋腱性部の活動は内側広筋の収縮効率に
影響を及ぼす可能性が推測される。

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膝OAでは内側広筋の機能的な面に関しても、

・内側広筋優位の筋活動量の低下(平中-1995)。

・症状の有無にかかわらず最大等尺性収縮時の内側広筋の筋活動が低下(宮口-2008)。

などの報告があり、筋体積が少ないのはうなずけます。

また、VMOと大内転筋の腱性部は
広筋内転筋腱板を介して連結しており、
大内転筋の収縮を利用して内側広筋の緊張を高めるのも
一つの方法と言えそうです。