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.PI1-095「前鋸筋の形態とその神経支配:機能解剖学的考察」

PI1-095「前鋸筋の形態とその神経支配:機能解剖学的考察」那須 久代
第46回日本理学療法学術大会 2011年

・前鋸筋を上部-中部-下部の3部に区分(Eisler-1912)。

・上部は肩甲骨回旋中心の形成
 中部は肩甲骨外転
 下部は肩甲骨上方回旋に作用(Greggら-1979)。

・前鋸筋各部における形態とその神経支配の特徴を解析した。

【結果】
・前鋸筋は、全例において3部に明確に分けられた。
・10 側中 7 側において、前鋸筋への肋間神経(第4-9)からの枝の分布を認めた。

1)上部線維
<形態>
・肩甲骨上角に停止。
・複数の筋束が集合して、他部に比べて厚い筋束。

<神経>
・長胸神経、菱形筋枝からの分枝(C4-5)、長胸神経の本幹とはかなり近位で分かれた独立枝。
・これらの神経の根は、ときとして中斜角筋を貫いていた。

2)中部線維
<形態>
・肩甲骨内側縁に停止。
・筋束はほとんど重なり合わずにほぼ水平に走行。

<神経>
・長胸神経の本幹からの枝(主にC5-7)。
・筋内に進入したのち、停止側へと広がっていた。

3)下部線維
<形態>
・肩甲骨下角に停止。
・2から4つの筋束が1つのシートを形成し、より下位の筋束ほど腹側に位置。
・最下の筋束は、肩甲骨下角の内側に回り込み、ときとして菱形筋に連続していた。

<神経>
・長胸神経の本幹からの枝(主にC5-7)。
・下部に分布する神経は、筋束の中央付近で筋内に進入し、起始と停止の両方向に向かって広がっていた。

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興味深いです。

上部線維は、下方回旋に作用するとの報告もあり、
形態、神経支配、作用が中部、下部と少し異なっており、
同じ筋として考えない方がいいのかもしれません。

肩甲骨上角付近は動きが悪いことが多く、
前鋸筋上部の影響もありそうです。

上部、中部はほぼ水平に走行してうるので、
肩甲骨の上下のアライメント変化により、作用が変化する可能性があります。

しかも、前鋸筋ばかり考えているわけにもいかず、
三次元での肩甲骨の動き、それに対応する筋群の変化・・・
難しいですね。