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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

PI1-319「膝前十字靱帯損傷者および再建者の膝関節運動覚」

PI1-319「膝前十字靱帯損傷者および再建者の膝関節運動覚」馬 玉宝
第46回日本理学療法学術大会 2011年

【測定】

・ 開始角度は膝関節屈曲 15°と 45°。

・膝関節伸展方向に運動速度 0.1°/s、0.2°/s、0.3°/s にて他動的に電動モーターで下腿を動かし、下腿が動いたと感じた時点で遮断スイッチを押すように指示した。


【対象】

1)健常群15 名 (男性 8 名 , 女性 7 名 )

2)ACL 損傷者23名(男性9名,女性14名)。

3)ACL再建術後3 ヶ月の患者30名(男性20名,女性10名)。

4)ACL再建術後6 ヶ月の患者26名(男性18名,女性8名)。

5)ACL再建術後12 ヶ月の患者27名(男性15名,女性12名)。


【結果】

健常群より、スイッチを押すまでの経過時間が有意に延長 (p<0.05)したのは、

2)ACL 損傷者

<膝屈曲15°> 0.1°/s 、0.2°/s 、0.3°/s

<膝屈曲45°> 0.1°/s 、0.2°/s 、0.3°/s

3)ACL再建術後3 ヶ月

<膝屈曲15°> 0.1°/s、0.2°/s、0.3°/s

<膝屈曲45°> 0.2°/s

4)ACL再建術後6 ヶ月

<膝屈曲15°> 0.1°/s

<膝屈曲45°> 0.2°/s

5)ACL再建術後12 ヶ月

<膝屈曲15°> 0.1°/s



・すべての対象で、屈曲 45°からの経過時間は 15°よりも延長。

・膝関節が伸展位におかれたほうが、運動覚の検出力が高いことを報告(Fridenら-1999)。



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ACL損傷群では、健常群より全てで遅延しており、パフォーマンスに影響を与えることが考えられます。

・術後、経時的に改善していそうなので、スポーツをする上では再建術を行った方がやはりよさそうです。

ACL損傷例では受傷前から関節固有感覚が有意に低下していた(2002-岡村)という報告もあり、関節固有感覚は予防の面からも大切かもしれません。