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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

半月板 切除

【半月板 切除】


「本田は最長全治3カ月 年内W杯予選絶望」


本田選手は、半月板の切除術をしたのかな?


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<手術成績はおおむね良好です>

・67症例の平均12年の調査で78%は機能的に満足(2000-Higuchi)。

・146症例の平均15年の調査で88%でgoodもしくはexcellent(1997-Burks)。

・内側半月板(MM)86%、外側半月板(LM)91%の患者は良好(Rangger)。



<年齢が若いほど良好です>

・30歳未満で経過良好(1996-Rockbornら)。

・40歳以上良好87%、60歳以上良好77%(1996-Matsusue)。

・60歳以上良好47%、60歳以下良好70%(1992-Bonamo)。

・60歳以下70%、60歳以上47%、年齢低いほうが好成績。




<変性断裂や軟骨損傷があると成績不良になります>

1)変性断裂

・部分切除では、変性断裂は成績不良(1969-Tapper)。

・運動選手における変性断裂の術後成績は不良(1996-Matsusue)。

2)軟骨損傷

・軟骨変性ありは満足度65%、軟骨変性なしは満足度96%(1984-McBride)。

・GradeⅢ-Ⅳの軟骨損傷がある場合は成績が不良(1992-Bonamo、1996-Matsusue) 。

・軟骨損傷(-)では94.8%良好、軟骨損傷(+)では62%で、40歳以上の軟骨損傷を認める症例は長期成績が低下(Schimmer)。



<半月板切除による術後の影響>

・半月板の辺縁を切離するだけで、荷重伝達機能が完全に損なわれる。(1979-Seedhom)。

・MMを切除してもACLが正常の場合、前後不安定性に変化はない(1982-Levy)。



<スポーツ復帰>

・98%の部分切除の症例が平均術後55日で完全復帰(1994-Osti)。

・74%の症例がもとのレベルに復帰、多少の愁訴は抱えている(1994-夏山)。

・68例の部分切除で88%の症例が復帰、愁訴なく完全復帰できたものは48%(2005-黒田)。



<術後は関節症変化を生じるリスクがあります>

・67症例の平均12年の調査では、48%で関節症性変化が生じた(Higuchi)。

・変形性関節症は、MM60%、LM33%、lateral discoid50%。

・部分切除8年後の関節症変化は手術側53%、非手術側27%(Fauno)113)。

・部分切除4年後の関節症変化は、MM38%、LM24%(Fauno)113)。

・女性、半月板切除量の多い症例は、X線像上のOA変化が生じる危険性が高い(Meredithら)。


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手術の成績はおおむね良好、年齢も若いことから順調に復帰するでしょう。

最近は半月板切除の術後を担当することは無く、すこし古い情報なので、現在ではもっとよい治療成績になっていると思われます。

W杯にベストを持っていくため無理をしないかもしれませんが、経過良好で予選通過が危うい状況になれば、最終予選では出場の可能性もあるかもしれません。