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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

足関節捻挫 予防

【足関節捻挫 予防】


<Cochrane review>
・予防効果に肯定的:
 ブレース(再発)、バランスボードトレーニング、複合トレーニング。

・予防効果に否定的:
 ブレース(初回)、テーピング、ストレッチング、シューズ。


<バランスボード訓練>
・バランスボードex、腓骨筋筋力ex、補装具で比較し、発生率で大きな差はなかったが、バランスボードex群がコントロール群と比べて低い結果だった(2007-Mohammadi)。
 ①バランスボードex群 :0.13/1000playing hours。
 ②腓骨筋筋力ex群   :0.50/1000playing hours。
 ③ブレース群      :0.25/1000playing hours。
 ④コントロール群    :3.33/1000playing hours。


・バレーボール選手に36週間実施し足関節捻挫の発症率が有意に低下(2004-Verhagen)。
 介入群     :0.5/1000playing hours
 コントロール群:0.9/1000playing hours


・内返し捻挫における下腿筋群の反応時間に影響を与える(1997-Sheth)。



<5分間の片脚立位>
・非実施群に比べ受傷率が低かった(2007-McHigh)。



<固有受容感覚ex>
・関節位置覚や重心動揺、筋反応時間を改善し、捻挫の予防に有効(2001-Eils)。


<装具>
・装具の使用によりサッカー、バレーボールの受傷率が減少(2003-Gross、2008-Pedowitz)。


<効果なし>
ノルウェー女子サッカー選手に、  
 ①ランニングプログラム8分間、 
 ②筋力-バランストレーンング10分間、
 ③フットワークトレーニング2分間を1シーズンの間練習前に実施。 
介入群(65チーム1320名)    :51/1055件
コントロール群(60チーム1220名):52/ 837件  有意差なし。(2008-Soligard)


<動作から見た予防策>
・減速性の動作において膝と足先の方向を一致させる。

・接地時に足趾を伸展-開排させる(toe-up)。

・母指球荷重を習慣化する。

・着地動作では、素早く下腿を前傾させて足関節背屈位をとらせることにより安定化を図る。

・重心線が荷重側の外側に移動する振り向き動作などでは、踵骨の急激な回外を起こさないよう母指球ターンや素早い踏み換えなどの動作パターンを習熟する。



参考・引用

杉本和成:足関節捻挫-発症メカニズムとその予防・再発予防:臨床スポーツ医学25(臨)、2008.

小林寛和:足関節捻挫-発症・再発を防ぐトレーニング法:臨床スポーツ医学25(臨)、2008.

蒲田和芳:足関節捻挫-診断・評価、CSPT、2009.

鈴川仁人:足関節捻挫-科学的根拠に基づくリハビリテーション、CSPT、2009.