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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

糖尿病と運動

たまたま糖尿病の話題が続いたので、

2型糖尿病の予防としては>
・筋のインスリン抵抗性を是正することが重要。
→糖尿病では、インスリンが効きにくい身体になっている。

インスリンが効きにくい身体になるのは?>
・脂肪細胞より分泌されるアディポサイトカイン(アディポネクチンなど)の異常。
・アディポネクチンの低下。
→アディポサイトカインの機能が低下するとよくないようです。

<アディポサイトカインが低下するのは?>
・運動不足や過剰な影響摂取による内臓への脂肪の蓄積。
・肥満や内臓脂肪蓄積と負の相関にある。

インスリン抵抗性が高くなると>
・耐糖能異常や血圧上昇、脂質代謝異常を引き起こす一因となる。

インスリン抵抗性に対する運動の効果>
・肥満を解消し、アディポカインの分泌動態を正常化。
・筋のミトコンドリアの増加は有効な要因となるかもしれない。
・筋活動に由来する血糖取り込み亢進作用。
・急性の運動は筋のインスリン非依存的な糖取り込みを促進。
・急性の運動は筋のインスリン感受性を上昇。
・慢性的な運動は筋のGLUT4(グルコーストランスポーター4型)発現を高める。
※GLUT4:インスリンに反応して、ブドウ糖を細胞内に取り込む。

<運動強度>
・50~70%VO2maxの強度の運動は、骨格筋でAMPKを軽度活性化させる。
※AMPK:GLUT4を細胞膜表面に移行させ、ブドウ糖の取り込みや脂肪燃焼する。


根治療法が実用的になるまでは、軽めの運動を行っていた方がよさそうです。


参考文献
川中健太郎:運動によるインスリン抵抗性の改善、臨床スポーツ医学25(10)、2008.
佐藤徳太郎:メタボリックシンドロームの基礎知識、理学療法25(10)、2008.
斎木しゅう子:メタボリックシンドロームに対する理学療法理学療法25(10)、2008.