popliteus mのブログ

整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

仙骨後傾4)

クリスマスの朝っぱらから仙骨後傾という感じですが、
仙骨は「sacrum」神聖なる骨といわれているので、
ふさわしいのです。


仙骨後傾に関与する靭帯の続きですが、
仙結節靭帯、仙棘靭帯、骨間靭帯は弛緩するといわれています。

これらが後傾に伴いしっかり緩まないと、仙骨後傾に伴う痛みの要因になるかもしれません。

仙結節靭帯では、

①大殿筋:後部線維が付着し、収縮により仙結節靭帯は緊張。
(1989-Vleeming)

大腿二頭筋:系統学的には下等脊椎動物大腿二頭筋腱の停止部に相当し、大腿二頭筋から線維を受け取っている場合もある。
(1989-Vleeming、1989-Warwick&Williams)

③多裂筋:深部の筋の腱が仙結節靭帯の上部表面に付着。
(1997- Willard)

以上から、大殿筋、大腿二頭筋、多裂筋、
その中でも大殿筋後部線維の緊張が強いと、
仙骨後傾位に対して仙結節靭帯の弛緩がうまく得られず、
仙腸関節付近に痛みが生じるかもしれません。

仙棘靭帯と骨間(仙腸)靭帯については、筋の影響はよくわかりません。


ということで、今までを無理やりまとめてみると
仙骨後傾による仙腸関節痛や不安定性に対しては、

・骨盤底筋群、広背筋、大殿筋、大腿二頭筋、(多裂筋)の緊張緩和。

・多裂筋、脊柱起立筋の機能向上。

が有効かもしれません。

しかし、仙骨を前傾にする筋はないので、運動での誘導が必要になると考えられます。

仙骨が両側性に前傾するのは、体幹前屈の初期や背臥位から起き上がる時に生じるので、これらの運動を用いるといいかもしれません。

また、片側性には一側下肢屈曲により仙骨が前屈するという報告(竹井-2002、2006)もあり、運動療法や評価で参考になりそうです。

ピッチャーでは、軸足と反対側は下肢屈曲を繰り返しており、そちらの仙骨は前傾位なのだろうか?

なんていうのは、クリスマスに考えることでもないですね。