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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

第10回東京スポーツ整形外科研修会3)足関節捻挫

足関節捻挫後の足関節機能的不安定性は足根洞の圧痛との関連が比較的大きい。

足根洞の痛みを除去すると、腓骨筋の反応時間が改善する現象がみられる。

これは、痛覚刺激によるγ運動ニューロンの抑制により筋トーンが低下していたものが、改善されたことによるものと考えられる。

歩行では、ATFLは1mm程度しか伸張されないため強固な固定は必要でない。

就寝時は布団による底屈位が強制や踵の突き上げにより、ATFLが伸張されやすいため夜間は装具装着が望ましい。

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1)足関節捻挫新鮮例

治療は、保存療法(Fanctional treatment:FT)と手術療法のどちらが望ましいか?

FT群78例、手術群54例で比較。

・FT群の90%は良好。
・手術群は全例で良好。
・しかし、手術群では7例(13%)で浅腓骨神経麻痺などの合併症が生じた(後に完治)。
・スポーツ復帰は、テーピングありでは両群とも6週から復帰。
・テーピングなしでは、FT群4ヶ月、手術群2ヶ月半と手術群のほうが早かった。

手術療法を選択する基準としては、
・2週間以上症状が残存する。
・競技復帰の予定が限られている。
・良好な靭帯が残存している。

2)足関節捻挫:慢性期

外側不安定性が残存している場合、軟骨損傷が生じ、経年的には変形性関節症を来す可能性が高いため手術療法が適応となる。

再建靭帯は、薄筋腱を用いるがその理由としては、
①838Nと強度が十分。ATFLは138N。
②機能障害が生じない。
③メカノレセプターの再生が生じる。

301例中、298例で3ヶ月以内にスポーツ復帰した。

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競技レベルの選手では、症状やスケジュールにより手術も選択の一つとなってきます。

捻挫というと軽視されがちですが、腰痛、股関節痛、膝痛なんかも原因を追いかけていくと、だいぶ前の捻挫の影響ではないかなと思われるような場合もあります。

初期治療では、しっかりと腫れを抑えること、その後は可動域や機能的な問題はしっかりつぶしておきたい所です。