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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

「THA・TKA 術後の深部静脈血栓症合併に影響を与える因子の検討」

PI2-196「THA・TKA 術後の深部静脈血栓症合併に影響を与える因子の検討」

安田 耕平:第46回日本理学療法学術大会、2011年


<対象>

・THA(人工股関節置換術)26例:男性2例、女性24例、平均年齢65.9歳

・TKA(人工膝関節置換術)37例:男性4例、女性33例、平均年齢74.3歳


<結果>

1)深部静脈血栓症: DVT

 ・THA術後:23.1%(26例中 6例)

 ・TKA術後:45.9%(37例中17例)

 ・計36.5%(63例中 23 例:ヒラメ筋静脈血栓22例)。



2)有意差あり:DVTあり群/DVTなし群

 ・術後初回歩行までの日数:7.1±5.9日  /4.7±1.5 日

 ・在院日数       :37.4±12.5日/30.2日± 6.5日



3)有意差なし

・年齢、Body mass index(BMI)、術中の出血量、手術時間、Dダイマー値(術後3日後・1週間後・2週間後)、入院から手術までの待機日数、術後初回車椅子乗車までの日数。



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深部静脈血栓症は、肺血栓梗塞症の原因となることもあるため注意が必要です。


THA後27.4%、TKA後50%(2000-藤田)という報告もあり、

おおむね、THAでは約1/4、TKAでは約半分でDVTが生じていることになります。


やはり、術後早期に歩行を早く始めた方が、DVTの発生は少ないようです。

何らかの原因で歩行が早期にとれない場合は、足関節の運動だけでもしておくといいかもしれません。


また、DVTが生じてしまった場合は、過激な運動を行うと肺梗塞の可能性が高くなるいう報告もあるようです。