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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

「変形性膝関節症患者における股関節周囲筋の筋力水準」

PI2-198「変形性膝関節症患者における股関節周囲筋の筋力水準」石阪 姿子:第46回日本理学療法学術大会、2011年

<対象>
・OA群(重度変形性膝関節症)
 :女性71名(60歳代13名、70歳代48名、80歳代10名)
・CT群(コントロール群)  
 :女性56 名(60歳代18名、70歳代20名、80歳代18名)

<年代別筋力値の体重比:OA群/CT群>
1)膝関節伸展筋力
・60歳代:0.26 ± 0.10/0.47 ± 0.14 ※
・70歳代:0.27 ± 0.09/0.39 ± 0.09 ※
・80歳代:0.24 ± 0.05/0.38 ± 0.10 ※

2)股関節外転筋力
・60歳代:0.23 ± 0.11/0.33 ± 0.08 ※
・70歳代:0.22 ± 0.08/0.28 ± 0.05 ※
・80歳代:0.20 ± 0.08/0.27 ± 0.09 

3)股関節伸展筋力
・60歳代:0.23 ± 0.11/0.40 ± 0.11 ※
・70歳代:0.23 ± 0.08/0.31 ± 0.09 ※
・80歳代:0.23 ± 0.07/0.27 ± 0.12

※ OA群の筋力が有意に低値(p < 0.05)

<各年代の筋力値の比較>
・コントロール群の股関節伸展筋力:60歳代から80歳代にかけて有意な筋力低下(p < 0.01)

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変形性膝関節症患者では年齢に関係なく、膝関節伸展、股関節外転、股関節伸展の筋力が低下傾向にあるようです。

膝だけでなく股関節の機能も低値を示しています。

面白いとこに膝OAの方は、筋力の体重比が年代とわず低値でほぼ一定しているということ。

膝OA→痛みや筋力低下なのか、
実は、膝OA的にはこのくらいの筋力の方が望ましいとか・・・

80歳代になると股関節筋力は、OA群もCT群も差が少なくなるようで、退行性変化の影響が大きいようです。

いかに加齢による機能低下を抑制するか。

機能的なものにアプローチするのも大切かも知れませんが、高齢者で元気な方は、社会的や家庭的に何らかの役割を持っている人。

現役を続けるということは、日常的には身体的、精神的にはある程度のストレスがかかっていてそれなりに大変なのですが、トータルで考えるとそのようなストレスは健康的な生活をおくる上では必要な要素になると考えられます。