.「体幹回旋動作における腰痛患者の筋活動特性」
PI2-213「体幹回旋動作における腰痛患者の筋活動特性 ̶筋活動開始時間に関する検討 ̶ 」谷口 匡史:第46回日本理学療法学術大会、2011年
<対象>
・健常群15名(男性9名、女性6名:年齢25.2±5.5歳)
・腰痛群15名(男性9名、女性6名:年齢22.5±2.4歳)
→Visual Analogue Scale(VAS)で30mm以上の腰痛が過去に3カ月以上続いた者
<測定課題>
・立位での体幹回旋動作。
<対象筋>
・非回旋側多裂筋、非回旋側外腹斜筋、非回旋側大殿筋、回旋側腹横筋 (内腹斜筋 )、回旋側脊柱起立筋、回旋側広背筋の6筋。
<動作開始時間(中央値):腰痛群/健常群>
・346.7msec/334.7msec: 両群に有意差なし。
<筋活動開始時間(中央値):腰痛群/健常群>
1)外腹斜筋:-56.6msec/-109.4msec:腰痛群は有意に遅い。
2)多裂筋 :-74.9msec/-89.7msec
3)他の回旋筋は遅延なし
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腰痛群では立位の回旋動作に対して、主動作筋である反対側外腹斜筋の活動が遅延しているようです。
多裂筋は有意差はないが遅延傾向にあるようです。
腰痛の場合、多裂筋の機能低下はよくいわれます。
:腰部伸展活動中の筋電活動が低下(1991-Sihvonen)。
:健常者と比較して疲労スピードが速い(1991-Biedermann、1989-Roy)。
:慢性腰痛の患者は健常者と比較して多裂筋の疲労耐性が低い(Hides)。
多裂筋は回旋時に屈曲を制御するのに働きます。
:回旋にはあまり関与しないが、回旋時には回旋主動作筋の腹筋による屈曲作用の力を相殺する。
:体幹の回旋筋とは考えにくく、腹斜筋の収縮による屈曲を補正する(Macintosh)。
多裂筋は動作に先行して活動することが多いことから、回旋に先回りして働くとなると多裂筋の遅延があるため外腹斜筋が遅延しているのかもしれません。