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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

「変形性膝関節症で大腿四頭筋のエクササイズをする理論背景」

【変形性膝関節症で大腿四頭筋のエクササイズをする理論背景】

近年では変形性膝関節症(膝OA)に対しては、運動連鎖や他関節の影響を考慮し、如何に膝関節へのストレスを軽減させるかという考え方が主流になってきています。

ですので、今更、膝OAに大腿四頭筋(quad)のエクササイズ(ex)という感もあるかもしれませんが、quadのexをする理論背景をまとめてみます。

1)筋力改善
・筋力低下があり歩行能力が低下している(Madsen-1995)。
・ショックアブソーバーであり、弱化は膝OAの進行を早める。

2)quadの収縮による周辺組織や関節内への影響
・関節圧迫力により関節軟骨の強さやサイズ、弾力性を増加させ、軟骨の退化を防ぐ(Burr-1984、Pothier-1990)。
・循環動体への影響(丸山-1980)。
・関節内圧の変化(Jayson-1970)。
・関節包、滑膜は直接力学的刺激を受け、疼痛改善、水症軽減につながったと推定。
・血流の増加や軟骨への栄養物の増加により痛みが減少。
・関節周囲の関節包や腱、靭帯の強度が増加し関節障害を予防。

3)その他
・Gate Control mechanism効果。
・確証は得られていない。

ということで、どちらかというと
quadの筋力低下に対して行うというよりも、
quadの収縮を介して、膝関節周囲や関節内組織に影響を与える効果の方が大きそうです。

そう考えると、筋力低下の有無にかかわらず、
個別的にquadのexを行うのは意義があると思われます。