「投球動作における 3 次元動作解析と肩甲帯周囲の筋活動特性」
OF2-064「投球動作における 3 次元動作解析と肩甲帯周囲の筋活動特性-wavelet 変換による動的周波数解析-」
宮崎 茂明、第46回日本理学療法学術大会、2011年
<対象>
1)対象群:測定前1ヶ月以内に投球動作による肩関節痛が生じた経験があり、かつ測定時には肩関節痛が生じなかった硬式高校野球選手の投手8名。
2)コントロール群:投球時に肩関節痛のない硬式高校野球選手の投手10名。
<対象群がコントロール群と比べて有意に低値をしめしたも>
1)cocking期
・骨盤前傾角度
・身体重心の前方移動距離
2)acceleration期
・胸椎伸展角度、骨盤前傾角度。
・ステップ脚方向移動距離。
・僧帽筋下部線維のMPRF
3)ボールリリース時
・肩関節外旋角度。
<対象群がコントロール群と比べて有意に高値をしめしたもの>
1)cocking期
・僧帽筋上部のMPRF
※ MPFR:投球動作各位相時の平均周波数を算出し, 各位相間での平均周波数の最小値と最大値を求め、その差分を算出したもの。
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肩関節痛のあった高校生投手では、
・骨盤前傾角度
・胸椎伸展角度
・僧帽筋下部線維の機能の低下があり、
cocking期からacceleration期にかけて、
重心の前方移動やステップ幅が小さくなり、
ボールリリース時に、肩関節外旋角度が大きくなる。
まとめるとこのようなかんじになるでしょうか。
最近は少し僧帽筋の機能が見直されているような気がします。
・プロ野球投手の投球側僧帽筋中部-下部は、非投球側と比較し非常に発達している(2000-Donatelli)。
・僧帽筋筋力低下により、投球時のゼロポジションが保持できなくなり、肩峰下腔やGHに負担がかかる(1998-Kibler)。
・前胸部tightnessと僧帽筋weaknessが競技復帰に関わる因子で、前胸部の柔軟性低下があると僧帽筋中部-下部の筋出力が発揮しにくい(福吉-2010)。
骨盤前傾や胸椎伸展角度をしっかりとつくり、
僧帽筋中部-下部の機能を高める。