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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

「短時間のスタティックストレッチングが柔軟性および筋出力に及ぼす影響」

0116「短時間のスタティックストレッチングが柔軟性および筋出力に及ぼす影響」
谷澤 真: 第47回日本理学療法学術大会、理学療法学39(1)、2012

<対象>
・健常成人20名(男性6名、女性14名、平均年齢22.7±3.6歳)

<方法>
・利き足の大腿四頭筋ハムストリングスに痛みを感じない最大伸張位のスタティックストレチング(SS)を実施。
1)6秒群:6秒間保持×3回
2)30秒群:30秒間保持×3 回

<結果:実施前→実施後>
1)SLR角度(°):
・ 6秒群:70.0±15.4→73.8±18.4(有意差なし)
・30秒群:70.1±15.5→74.8±16.2(有意な増加)
2)ピークトルク体重比(Nm/kg)
①角速度 60°/sec 等速性膝屈曲時
・ 6秒群:2.20±0.38→2.36±0.47(有意な増加)
・30秒群:1.18±0.29→1.12±0.23 (有意な低下)
②300°/sec 等速性膝屈曲時
・30秒群:0.88±0.20→0.82±0.20(有意な低下)
③等尺性膝屈曲時
・30秒群:1.28±0.26→1.22±0.20(有意な低下)

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効果的なSSの時間は20秒前後といわれており、6秒ではやはり効果が少ないようです。

注目したいところは、30秒群では筋出力が低下するところ。

ですので、運動直前にSSをすると力が出にくくなる可能性があります。

運動前にするが、運動後にはしていないという人がいますが、

本来は、運動前には軽いジョギングやバリスティックストレッチなどを行い、

運動後にもとに戻すためにSSを行うのが望ましと思われます。

また、最近聞いた話では、

プロ野球選手や甲子園常連校の高校野球のレギュラークラスの選手では、

キャンプや合宿後での関節の可動域の低下が少ないようです。

これは、しっかりとケアしているというよりも、

身体をうまく使っているため筋などの硬化が生じにくいというニュアンスでした。

となると究極的には、上手に使っていればSSもする必要はないといくことになります。