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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

「変形性膝関節症に対する母趾内転筋の伸張の即時効果」

0117「変形性膝関節症に対する母趾内転筋の伸張の即時効果」
増野 雄一、 第47回日本理学療法学術大会、理学療法学39(1)、2012

<対象>
・変形性膝関節症患者32名、60膝(男性6名、女性26名、平均年齢78. 2±4.6歳)。

<母趾内転筋の伸張方法>
・両手で第1趾および第 5 趾の中足骨から趾節部を把持し、上下に揺する感じで開排伸張する方法を2分間実施。

<結果:実施後に有意差あり>
1)10m歩行時間:11.0±2.6秒→10.1±2.2秒
2)10m歩数:21.0±4.5歩→19.7±4.2 歩
3)Time up & go:12.2±2.5秒→11.0±2.3秒
4)片脚立位時間
 :右/12.1±15.5 秒→16.1±19.3秒
 :左/16.4±20.8秒→20.9±21.8 秒
5)Functional Reach Test:22.6±7.2cm→25.1±6.9cm
6)足趾末梢部横幅
 :右/81.4±9.9mm→83.2±10.8mm
 :左/82.7±8.9mm→84.1±9.0mm
7)MP関節部横幅
 :右/80.5±6.1mm→81.8±5.9mm
※ MP関節部横幅の左側のみ有意差なし

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母趾内転筋を伸張することにより歩行やバランス能力に改善がみられるようです。

母趾内転筋斜頭の動きが改善されたことで、その深部にある長腓骨筋腱の滑動性が出て、長腓骨筋の働きが高まったためと考察されています。

長腓骨筋は、足部アーチで重要とされる立方骨を支持しており、アーチの形成や足関節の側方安定化に重要な役割を果たします。

長腓骨筋の滑走不全というと、短腓骨筋ばかり着目していたので、母趾内転筋も見落とさないようにしたいと思います。