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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

「ゴルフラウンドにおける血中 IL-6 動態に関する研究」

0126「ゴルフラウンドにおける血中 IL-6 動態に関する研究」
安岡 良訓: 第47回日本理学療法学術大会、理学療法学39(1)、2012

<対象/方法>
・健常者9名(平均年齢31.1±4歳)
・18ホールのゴルフラウンドを実施。

<結果>
1)所要時間:303±4.3分
2)安静時と比較して有意に上昇
・ ラウンド中の平均心拍数
3)安静時と比較しラウンド終了後で有意に上昇、1時間後でも上昇を維持。
・血中 IL-6 濃度、ミオグロビン、クレアチンキナーゼ(CK)濃度、 白血球、単球数
4)ラウンド後で変化なし
・血中TNF-α濃度、hsCRP濃度、アドレナリン
5)ラウンド終了時に変化なく、1時間後に低下
ヘマトクリット

<考察:IL-6 濃度が上昇した要因>
・ミオグロビン、CK濃度が上昇、TNF-α、CRP濃度に変化なし。
 →炎症性カスケードによる IL-6 上昇の可能性は低い。
・アドレナリン濃度の変化なし
 →骨格筋のアドレナリン刺激によるIL-6mRNA転写促進の可能性も低い。
・単球数の上昇
 →運動による末梢血単球数の上昇は IL-6 濃度に関与しない
 →IL-6 濃度の上昇が単球由来である可能性も否定的。
・よって、骨格筋の収縮によって誘発されたと考えられる。

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IL-6は、
「糖代謝、脂肪代謝の活性化、造血幹細胞の活性化、神経修復の活性化等を有する(Pederson BK)」

「糖尿病患者では、IL-6などの炎症性サイトカインが増加している(小川-2006) 」
「炎症性サイトカインは筋肉組織での異化作用を亢進させるため筋力低下に関与すると考えられる(沖田-2007) 」

ということで良いのか、悪いのかよくわからなかったのですが、

「運動によるIL-6上昇は、TNF-αなどの炎症性サイトカインの上昇なしに、IL-1raやIL-10等の抗炎症サイトカインの上昇を導く」

運動(骨格筋の収縮)によるIL-6上昇は良さそうです。

「健常者ではランニング、自転車エルゴメーターや膝伸展運動で血中IL-6濃度が上昇」するようです。