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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.「ストレッチング強度の違いが各評価指標に与える影響」

0127「ストレッチング強度の違いが各評価指標に与える影響」
片浦 聡司: 第47回日本理学療法学術大会、理学療法学39(1)、2012

<被験者>
・健常学生18名(男性9名、女性9名、平均年齢20.6±1.2歳)。

<方法>
・対象筋:右ハムストリングス
・ストレッチング時間:180秒。
・ストレッチング強度:大腿後面に痛みの出る直前の膝関節伸展角度を100%とし、80、100、120%の3種類(以下、80%群、100%群、120%群)とした。

<結果>
1)静的トルク
 :全ての群でストレッチング後に有意に低下。
2)最大動的トルク
 :痛み閾値に関連するstretching tolerance を反映。
 :80%群:有意な変化なし
 :100、120%群:ストレッチング後に有意に増加(痛み閾値の上昇)。
3)stiffness
 :筋腱複合体の粘弾性を反映。
 :80%群:有意な変化なし
 :100、120%群:ストレッチング後に有意に低下。
 :80%群と120%群との群間に有意差あり。
4)ROM
 :80%群:有意な変化なし
 :100、120%群:ストレッチング後に有意に増加。
 :80%群と100%群、120%群との群間に有意差あり。

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若年健常者では、ちょい痛いくらいの所の方が効果がありそうです。

しかし、健常者でない場合や高齢者では100%付近の所が無難でしょう。

また、痛みの閾値が上昇していますが、よくいえば痛みが出にくくなった、悪く言えば痛みに鈍感になったということになります。

過度に伸張されているのに痛みを感じにくくなっているとなると、その筋や周辺組織を損傷することにもなります。

対象者に合わせて、適切な強度、目標可動域などを選択することが必要になると思われます。