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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.膝関節軟骨修復術後のスポーツ復帰状況

0233「膝関節軟骨修復術後のスポーツ復帰状況 ─マイクロフラクチャー、骨軟骨柱移植、自家培養軟骨移植の比較─」平田 和彦:第47回日本理学療法学術大会、理学療法学39(1)、2012

<対象>
・膝関節軟骨損傷と診断され外科的手術をうけた患者33名。
・MF:マイクロフラクチャー11名(男性9名、女性2名、平均年齢31.4±16.9歳)
・OAT:骨軟骨柱移植9名(男性7名、女性2名、平均年齢33±18.1歳)
・ACI:自家培養軟骨移植13名(男性8名、女性5名、平均年齢30.0±9.6歳)

<結果:術前/術後2年>
1)Lyholm Score(膝機能評価)
・MF :76.4±18.5点/97.2±4.1点
・OAT:56.1±18.5点/94.7±10.7点
・ACI :61.3±20.4点/92.5±8.75点
※全てで術後有意に改善。
2)Tegner activity score(活動レベル)
・MF :3.9±4.7点/8.0±1.8点
・OAT:1.1±2.4点/5.7±2.4点
・ACI :1.3±2.5点/5.9±2.0点
※全てで術後有意に改善。
3)スポーツ復帰率(期間)
・MF :81.8%(6.9 ± 3.4ヶ月)
・OAT:77.8%(12.9±8.1ヶ月)
・ACI :61.5%(18.9±7.4ヶ月)

<考察>
・早期スポーツ復帰を目指すにはMFが有利。
・ACIは手術侵襲が大きく、修復軟骨の成熟に長期間を要すため, スポーツ復帰に時間がかかる。
・しかし、理論上 ACI は修復軟骨の長期的な耐久性に関してMFやOATより優位である。

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MF(マイクロフラクチャー)
比較的小さな軟骨損傷に対して行われる。軟骨損傷部の骨に傷を付ける事で骨髄を刺激し軟骨様組織の再生を促進する。

OAT(骨軟骨柱移植;mosaicplasty)
自分の健常で膝蓋骨と接触しない部分の骨軟骨柱を採取し、軟骨欠損部に移植する方法。

ACI(自家培養軟骨移植)
自分の軟骨組織の一部を採取し、試験管内で軟骨組織を再生させ、損傷部位に自家移植する方法。

スポーツ復帰を考えた場合、ACIでは平均18.9ヶ月、61.5%(2年後)の復帰率となると、ちょっと厳しいものがありますね。