人工股関節全置換術術後患者の多裂筋筋活動
0238「人工股関節全置換術術後患者では多裂筋筋活動のタイミングが遅延する ─股関節伸展運動における筋活動の分析─」
建内 宏重:第47回日本理学療法学術大会、理学療法学39(1)、2012
<対象>
・THA群:人工股関節全置換術(THA)の術後6カ月以上の女性21名(年齢;62.5±6.6歳)。
・健常群:健常女性12名(年齢;63.3± 5.1歳)。
<方法>
・腹臥位での股関節伸展運動(屈曲30度から0度まで)。
・左右2光源からなるLED信号装置の点灯に対して、点灯側の股関節をできるだけ速く伸展させる。
・LEDの左右点灯の順は無作為で、THA群では患側、健常群では非利き脚側の5試行を分析。
<結果>
1)両群で有意差なし
・反応時間
・下肢運動速度
・筋活動量:脊柱起立筋、多裂筋、大殿筋
2)THA群で有意に高値
・筋活動量: 半腱様筋
3)THA群で有意に低値
・多裂筋の筋活動のタイミング(半腱様筋との時間差)
:THA群-1.2±21.6 ms/健常群- 21.7 ± 23. 4 ms
:健常群:全例が半腱様筋よりも早期に活動。
:患者群:48%で半腱様筋のほうが早期に活動。
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THA術後では、多裂筋の収縮遅延が生じていて半腱様筋の過剰収縮がみられるようです。
腰部疾患では多裂筋の機能低下はよく言われますが、股関節疾患で収縮遅延があるというのは興味深い所です。
この多裂筋の収縮遅延の要因は何か(股関節痛、股関節深部筋の機能低下、腰部疾患・・・)?
股関節伸展における、多裂筋の収縮遅延と半腱様筋の過活動の関係(メカニズム)は?
この辺を、頭の片隅に置いておきたいと思います。