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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

菱形筋と前鋸筋は機能的に連結しているか?

0440「菱形筋と前鋸筋は機能的に連結しているか?」羽崎 完、 第47回日本理学療法学術大会、理学療法学39(1)、2012

<対象>
・健常成人男性10名(平均年齢21.2±1.8歳)。

<測定>
・前鋸筋に負荷を与えたときの前鋸筋と菱形筋の筋活動を導出。
・膝関節90°屈曲位の椅子座位、肩関節90°屈曲位、肩骨最大外転位、肘関節伸展位。
・前腕遠位部に自重(負荷なし)、2kg、4kg、6kgの負荷を加え5秒間保持。
・第6肋骨前鋸筋、第8肋骨前鋸筋、菱形筋を測定。

<結果>
・菱形筋と第6肋骨前鋸筋との相関係数は0.791
・菱形筋と第8肋骨前鋸筋との相関係数は0.817
・いずれも有意な強い正の相関が認められた(p < 0.01)。
・重回帰分析の結果、第8肋骨前鋸筋にのみ有意な影響が認められた(p < 0.05)。

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菱形筋と前鋸筋は、機能的に連結しており、より下部の線維での影響が強いようです。

解剖的にも、菱形筋と前鋸筋の筋膜の連続性は非常に明確(Thomas-2009)で、停止部で連結(1998-河上、2004-壇)するとされています。

求心性の収縮では肩甲骨に対して、菱形筋が下方回旋、前鋸筋が上方回旋(上方線維は下方回旋)と拮抗しますが、菱形筋と前鋸筋を一つの筋として考え、 肩甲骨は種子骨のようなものだと考えても、おもしろ見方ができるかもしれないなと思いました。