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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

「肩疾患の特殊性ー愁訴を取り除くためになにが必要か?」

「肩疾患の特殊性ー愁訴を取り除くためになにが必要か?」菅谷啓之:理学療法学39(7)、2012

<中高年の肩関節疾患>
・安静時痛や夜間痛がある場合、炎症があると考える。
・炎症期には、徹底した安静と疼痛管理(消炎処置)。
1)安静
・炎症期には無理な可動域訓練は行ってはいけない。
・疼痛を誘発しない範囲内でのADL動作を指導し、胸郭や肩甲帯に対する運動を行う。
2)消炎処置
・消炎処置は、ステロイド剤と局所麻酔剤の混注が最も効果的。

<治らない五十肩の正体>
1)拘縮もないのに五十肩と診断された症候性腱板断裂や石灰沈着症
2)拘縮があって五十肩と診断されたものの、安静時痛や夜間痛など炎症性の疼痛のコントロールが出来ていない
3)疼痛管理がしっかりとなされているのに、肩甲上腕関節の可動域が改善してこない場合
 →関節包が厚く肥厚しており、軟骨系遺伝子が発現(Hagiwara-2012)
 →唯一の手術適応だが、屈曲は約1年から3年、下垂位外旋は約3年で手術した場合と変わりなく改善する(Hagiwara-2012)

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肩関節に限りませんが、炎症期にやり過ぎてしまい、かえって悪化、遷延化させてしまうことがあります。

炎症期は痛みも強く、辛そうなので、なんとかしたいと頑張ってしまいがちですが、それが悪影響を及ぼしてしまうことが多々あります。

カルテ情報、問診、視診(動作)から判断して、あえて何もしないことも時には大切で、
1)現在の考えられる状態を伝える
2)予測される経過を伝える(いくつかのパターン)
3)現在してはいけない事、したほうがいい事を伝える
正確な情報を理解してもらいセルフコントロールが出来るようにする。
これもりっぱな理学療法だと思います。