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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

若年者の座位時腰痛について

0496「若年期における座位時腰痛の考察 ─臨床所見と重心動揺計を用いた検討─」増田 一太:第47回日本理学療法学術大会、理学療法学39(1)、2012

<対象>
・椎間関節障害と診断された症例の内、15歳以下の症例52例。
 :S群:体育座り時に腰痛を訴える32例(平均年齢11.4歳)
 :F群:座位時以外の腰痛が主体の20例(平均年齢13.3歳)
 
<結果: S群/ F群>
1)有意差なし
体幹伸展時痛の陽性率:68.8%/85.0%。
・腰椎椎間関節の圧痛所見の陽性率:65.6%/75.0%。
・腰椎前彎角:29.3±9.8°/32.1±6.1°。

2)有意差あり
体幹屈曲時痛の陽性率:71.9%/30.0%。
・多裂筋の圧痛所見の陽性率:81.3%/40.0%。
・腰仙角:40.1±7.7°/46.7 ± 5.6°
 →S群で有意に後傾化。
仙骨傾斜角:33.1±7.1°/43.6±6.0°
 →S群で有意に仙骨が直立化。

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体幹伸展時痛、腰椎椎間関節の圧痛を訴える症例の中でも、
体育座りや体幹屈曲時に腰痛を訴える症例(S群)では、
仙骨後傾位
・多裂筋の圧痛
といった特徴があるようです。

F群では、腰椎前彎が過剰→椎間関節のストレス→椎間関節部の痛み
S群では、仙骨後傾が過剰→多裂筋過緊張→多裂筋、椎間関節包など椎間関節付近の痛み
というような感じでしょうか。

若年者では、授業で座っていると痛くなってくるという訴えがけっこうあります。
そして、その場合やはり多裂筋の緊張が高い印象(特に座位姿勢になると)があります。
それが、仙骨後傾に起因するものであれば、
多裂筋は受動的に過緊張を強いられているので、
多裂筋の緊張を落としても解決にならず、
仙骨後傾の要因を解決しないといけないと考えられます。