痛みと情動の脳内機構とリハビリテーション4)
2月17日【痛みと情動の脳内機構とリハビリテーション;畿央大学教授、森岡周教授】のまとめ。
<痛みの情動-意欲的側面に関与する脳機能>
③前帯状回
情動:
・情動要素には前帯状回の活動を落としていくことが大切。
痛み:
・主観的な痛みとの関係が強い。
・社会的痛みと背側前帯状回の領域の活動とに相関がある
(Eisenberger-2003)。
機能:
・矛盾のモニタリング、痛みの経験、不安、不明瞭な情動
などにより活性化(Beckmann-2009)。
・社会的排除(仲間はずれ)になると背側前帯状回(dACC)
が強く働く(Eisenberger-2003)。
・妬みの感情があると前帯状回の活動があがる
(Takahashi-2009)。
機能不全:
・矛盾する知覚が生じた時に解決する機能が低下し心的ストレ
スを強化する。
疾患:
・慢性疼痛患者では、萎縮し意思決定能力、意欲の低下を
引き起こしている(Apkarian-2004)。
・CRPSでは、痛みが生じない刺激でも活性化を認めた
(Malhofner-2005)。
ヒント:
・催眠暗示(リラックス)により痛みの不快感が緩和した
場合、前帯状回の活動が抑制(Rainville-1997)。
・ニューロフィードバックよりコントロールが可能
(deCharms-2005)。
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情動要素のコントロールには前帯状回の機能が重要のようです。
社会的な要素とも深く関わっているのは面白い所です。
ストレスにより興奮(田中-1998、Phan-2002)し、一次体性感覚野のシナプス密度が増加(Bock-2005) するという報告もあり、ストレスが痛み-負の情動を強化する一因になると考えられます。
ストレスの要因を把握すること、リラックスする方法や時間を持つこと、自己を確立することなどが大切かも知れません。
また、カフェインには帯状回を活性化し、認知機能、注意力を高める効能もあるようです。