popliteus mのブログ

整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

痛みと情動の脳内機構とリハビリテーション6)

<慢性疼痛患者について>

痛みの要因
 ・器質的疾患が外傷が原因となり、その原疾患が治癒した後も
  持続する痛み。
 ・神経の可塑的変化など生物学的要因により発生。
 ・持続する痛みによる身体機能低下、心理的、社会的要因が影
  響し、それぞれの要因が複雑に関連した痛みと考えられる。

痛みの悪循環:
 ・痛みにより運動が抑制され、痛みを避けるような行動をとる
  ようになり、学習性の不使用が生じる。
 ・不使用によって、脳では患部の体部位再現が狭小化され、さ
  らなる痛みを引き起こす。
 ・痛み→運動抑制→不使用→体部位再現狭小化→痛み。

脳機能:
 ・前頭前野、前帯状回が萎縮→意思決定能力、意欲の低下を引
  き起こしている(Apkarian-2004)。
 ・自発痛では、辺縁系(情動系)領域の過活動が生じ、感覚系
  の視床や島の働きは減少している(Apkarian-2011)。

対処法:
 ・ニューロフィードバック、共感、運動イメージプログラム、
  錯覚、感覚弁別課題、プリズムアダプテーション
  ミラーセラピー、視覚入力変調(McCabe-2005)。 

運動:
 ・痛みのある部位の隣接部位の運動に効果がある
  (Jo-2012)。
 ・運動により健常者では放出される内因性オピオイドが、慢性
  疼痛患者では放出されずに鎮痛効果がないこともある。
  (Jo-2012)。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今回の講演では、痛みと脳機能との関係、それに対する対応方法が少し整理できました。

整形外科疾患においても、身体機能だけでなく、脳機能をイメージしていくと治療の幅が広がっていきます。

あらためて、色々な角度から検討し、クライアントと協力しながら、あきらめずに良い方法を模索していくことが重要だと思いました。