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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

千葉YTIC12回目 「パニック障害・その他関連疾患」

千葉YTIC12回目(4月12日) 「パニック障害・その他関連疾患」


<パニック障害とは>
 めまい、心悸亢進、呼吸困難などの自律神経症状とともに激しい不安が発作的に起こる疾患。100人に1人くらいの割合で起こり、男女比は、欧米で1:2、日本では男女ほぼ同じくらいである。発症年齢は、男性で25-30歳、女性で35歳前後が多い。
 パニック発作は、激しい恐怖感や不安感とともに、心臓がドキドキする、汗をかく、身体や手足の震えなどの症状が出現する。 発作は誘因なく突然始まるのが特徴的。 症状が出現してから10分以内にピークに達し、その後30分以内に症状が消えることが多いが、半日以上も持続する場合もある。発作が起き始める頻発し、週3-7回の人が多い。様々な身体症状が出現するが、心電図、脳波、CT、血液-尿検査などの臨床検査での異常はみつからない。

<治療>
 三環系抗うつ薬のイミプラミン、ベンゾジアゼピン抗不安薬のアルプラズラム、ロラレパム、クロナゼパムの薬物療法、認知-行動療法などが用いられる。

<原因>
 ストレス学説、環境因学説、遺伝学説、誘発物質説があるが、現在のところ明らかにされていない。
①ストレス学説:発症前のライフイベントが多くストレスが関係しているという報告と、ライフイベントが特別に多いことはなくライフイベントをよりストレスフルに感じるという報告があり、結論づけられてはいない。
②環境因学説:幼少時に親と死別または生別した人、または親からひどい仕打ちを受けていた人はパニック障害になりやすいという報告がある。しかし、相対的に多い傾向というまでで結論づけられてはいない。
③遺伝学説:22%にパニック障害の家族歴がある。
④誘発物質説:
a)炭酸ガスパニック障害患者の7-8割で炭酸ガスの吸引により発作を引き起こす。
b)乳酸ソーダ疲労した時に筋肉に貯まる老廃物質で、この物質を注射するとパニック障害患者だけにパニック発作が生じる。
c)カフェイン:コーヒー約5杯分のカフェインが体内に吸収されると多くの患者で発作が生じる。
d)その他:気管支拡張剤や経口避妊薬など。
 
パニック障害に対するヨーガ療法の関わり>
 パニック発作を経験した場合、パニック発作に強烈な恐怖を感じる。さらに、発作自体が不意に突然生じるため、常に不安感持ち続けることになる。これを「予期不安」といい、「予期不安」のため緊張状態が続いたり、行動が防衛的になり、行動空間が狭められていく。
 ヨーガ療法では、「予期不安」を心が外に向いている状態であるととらえる。過去の発作に対しての恐怖、そして未来に起こるかもしれない発作に対しての不安に意識が行ってしまい、今を生きることが困難になっている。これらに対して、ヨーガにより身体の動き、呼吸を意識することで、心を内に向け、今に生きることに焦点を合わせる。さらに、自分でコントロール出来ることがあることを学ぶことで「予期不安」の軽減が得られると考える。


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脳機能から考えると、扁桃体は不快や危険な情報を素早く検出し、不安や恐怖の状態を引き起こす機能があり、パニック障害では過活動が生じていると考えられる。

扁桃体の過活動を抑制するには、前頭前野の活動が必要となる。

運動によるセロトニンの増加は前頭前野の機能を高め扁桃体を落ち着かせる。
固執(こだわり)や慢性疼痛は、前頭前野の機能を低下させる。

したがって、運動や認知の変容、痛みのコントロール前頭前野の機能を高め、扁桃体の過活動を抑制し不安や恐怖に対して耐性をもたらしてくれるかもしれない。