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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム

ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム

ピアニストでは、正確で素早いタッチを持久的に要求されます。
長年の練習により脳の機能が、一般の人と異なってきます。
特に、指の分化が優れていて個別に正確に素早く動かす能力が高く、その脳部位が発達していきます。
しかし、その強化が過ぎると、指の不随意で持続的な収縮が生じるフォーカル・ジストニアが生じることもあります。
これは、正確な演奏が要求されるクラッシックのピアニストで多く、即興的な演奏をするジャズピアニストには見られないようです。
何か一つに集中して行うということは、それらに関係する脳機能を発達させるとともに、もしかすると他の所を犠牲にしているところもあるのかも知れません。

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ピアニスト(音楽家)の脳と特徴

<運動野>
神経細胞の数が多い。
・複雑な指の運動をしている時の運動野の神経細胞の働きが少ない。
・左手の指の動きをつかさどる脳部位の体積が大きい。
・音を聴いている時でも、指を動かすために働く脳部位の神経細胞が活動している。

<聴覚野>
・右の聴覚野のヘッシェル回が2倍以上大きい。
神経細胞の反応が2倍近く大きい。

<その他>
・小脳の体積が5%(細胞50億個)ほど大きい。
 →正確な運動の遂行が可能。
大脳基底核被殻が小さい
 →被殻が大きいほど、演奏する時の指の動きが不正解でバラつく。
・左の海馬の前方部分が大きい。
 →記憶に優れている。

また、音楽は子供の発達によい影響を与えることが報告されています。

<音感>
・7歳までにピアノを始めた人のほうが聴覚野の神経細胞の数が多い。
・6歳児に、専門的な音楽訓練を受けさせた結果、聴覚野の神経細胞が増加。
・7歳より前の専門的な音楽訓練は、脳梁の体積を大きくする。

<運動や認知機能>
・11歳までに行うピアノの練習は、脳の鞘を発達させる。
・6歳児でピアノ、声楽のレッスンを1年間受けた群は、IQの向上が著しかった。

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子供には、音楽に限らず五感を刺激するものをバランスよく経験させることが必要かも知れません。
私は薬指と小指の使い方が下手で、ピアノはもちろんのこと、未だにブラインドタッチもうまくいかない状態です。
指の神経細胞の発達が未熟なのと、被殻が大きいのでしょうね・・・。