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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

マインドフルネスストレス低減法の脳機能への効果

マインドフルネスストレス低減法は、
1)呼吸法
2)静座瞑想法
3)ボディー・スキャン
4)ヨーガ瞑想法
のプログラムからなる。
身体への気づき、今この瞬間に生きることなどを意識させ、ストレスや不安などを減少させるエクササイズである。

8週間のプログラムを12名(男性6名、女性10名;平均年齢38歳)に実施し、コントロール群と比較したところ、左海馬、後部帯状皮質、側頭頭頂連合、小脳の灰白質の濃度が増加した(Britta-2011)。

海馬は感情の調整に関与し(Corcoran-2005、Milad-2007)、うつ病 (Sheline-2000)や心的外傷ストレス(Kasai-2008)では、海馬の体積は減少する。
うつ病や心的外傷ストレスに対して有効?

後部帯状皮質(PCC)は、痛みの情動的側面に関与し、痛みの制御に機能する。
・痛みの改善に有効?

側頭頭頂連合(TPJ)は、自己の意識的な経験、空間に置ける心身の位置関係の認知に働き、機能がうまくいかないと体外離脱体験などが生じる(Blanke-2002、Britta-2011) 。
・身体イメージの改善に有効?→身体イメージの障害(後頭葉の機能不全):慢性腰背部痛患者(Moseley-2008)、CRPS患者(Lewis-2010)に有効?

小脳は、運動だけでなく感情と認知の調整にも重要な役割がある。

参考・引用
・J.カバットジン:マインドフルネスストレス低減法、2010
・Britta K et al: Mindfulness practice leads to increases in regional brain gray matter density、 Psychiatry Research: Neuroimaging 2011.
森岡周;痛みと情動の脳内機構とリハビリテーション、TAP講習会、2013
・傳田 光洋:皮膚感覚と人間のこころ、2013

マインドフルネスストレス低減法             皮膚感覚と人間のこころ (新潮選書)