「骨関節障害に対する理学療法の近未来への提言」非特異性腰痛
第32回 関東甲信越ブロック 2013年11月2、3日。
「骨関節障害に対する理学療法の近未来への提言」
非特異性腰痛は、腰痛の中の約85%を占めるが器質的な異常が明確でなく、痛みのメカニズムが不明なことが多い。
心理的、社会的問題の関与もあり、生物・心理・社会学的疼痛症候群と考えられる。
一方、筋-筋膜性の問題を抱えていることもあり、姿勢、動作、加齢などによる生活習慣病の範疇であるとも考えられる。
姿勢の影響としては、加齢に伴い、胸椎後彎の増大、腰椎前彎の減少(後彎化)、仙骨前傾の減少(後傾化)が生じ、これらの変化は腰痛に関与する。
姿勢変化のメカニズムとしては以下の流れが推測できる。
深部筋(大腰筋、腹横筋、多裂筋など)の機能低下:30~40歳から生じる
※多裂筋の機能不全は、タイトネス→血流低下→痛みを生じさせる
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骨盤や下肢筋の機能不全:30~50歳から生じる。
※下肢柔軟低下は胸椎後彎角を増加させる
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体幹や下肢の機能不全
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骨盤後傾、腰椎前彎の減少:60歳以降
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身体的には、40歳代ころより深部筋のエクササイズや下肢のストレッチなどのセルフケアが必要になることが考えられます。
また、理学療法士としては心理・社会的因子も考慮に入れて理学療法を行い、最終的には認知や行動の変容を促していくことが必要になりますが、ここは慎重に行わなければなりません。
整形外科に来るということは、もし心理・社会的因子があると理解していても、生物学的因子→心理学的因子・社会的因子というふうに理解しているということで、はじめはここは崩さないで慎重にアプローチすることが必要だと思います。