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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

千葉YTIC第16回 「摂食障害とヨーガ療法」

千葉YTIC第16回講座 「摂食障害とヨーガ療法」

摂食障害の患者の約1割が、飢餓、心不全、自殺などで死亡するが、治療が早くなされれば回復率はよい。

①神経性無食症
 ・短期的に著明な体重減少。
 ・やせ細ってもダイエットし続ける。
 ・生理がなくなる。
 ・異常な食行動が生じる。
 ・憂うつな状態が多くなる
②大食症
 ・むちゃ喰いを繰り返す。
 ・無理やりの嘔吐や下剤などの使用をする。
 ・体重は変わらないか増える。
 ・薬物やアルコールの乱用がみられる。
 ・憂うつな状態が多くなる。

<原因>
以下の性格、家族、環境、生化学などの要因が考えられているが、科学的な検証は不十分である。
1)性格
 ・自信と希望がなく、自己評価が低い。
 ・良い子過ぎる傾向にある(①)。
 ・従順、こまめに体を動かす、完全主義、優等生(①)。
 ・衝動的でアルコールや薬物の乱用が目立つ(②)。
2)家族的背景
 ・家族性の発症が多い傾向(遺伝的な因子?)。
 ・経済的社会的に上級。
 ・子供に対して暖かく支持的で障害のない家庭(①)。
 ・夫婦間の問題は内在(①)。
 ・患者家族間には敵意が多い傾向(②)。
3)生化学
 ・長期のストレスがホルモンや神経伝達物質に影響を与え、
  摂食障害を起こしていると考えられる。
 a)ホルモンのアンバランス
 ・女性では無月経
 ・無月経は明らかな体重減少に先立って生じ、
  体重の正常な過食症者にも見られる。
 ・男性では男性ホルモンの減少やインポテンツ。
 ・摂食障害によるホルモンの異常も否定できない。
 b)脳神経伝達物質
 ・セロトニン、βエンドルフィン、ノルエピフィリンの濃度が
  低下。
 ・セロトニンは、衝動性、抑うつ状態、過食行動と関係。
 ・ノルエピフィリンの濃度低下は、体重の減少に先行
 (遺伝的素因?)。
 ・コルチゾール(ストレスホルモン)が高い。
4)うつ病
 ・うつ病摂食障害の引き金になっている可能性。
 ・セロトニン、ノルエピフィリンの濃度が低下、コルチゾール
  の上昇はうつ病と関連。
 ・抗うつ剤過食症者に効果がある。

<治療>
 ・まず、内科的検査により体重減少を引き起こす疾患との鑑別
  が必要。
 ・早期の治療が重要(カロリーコントロール)。
 ・認知行動療法:食行動、思考パターンの変更。
 ・個人精神療法
 ・家族療法:家庭状況の理解と変更する。
 ・薬物療法抗うつ薬など。
 ・疾患を否定する傾向があり治療開始や継続が困難な場合があ
  る(①)。
 ・体重が回復してからも、体重保持のためカロリーを余分にと
  る必要がある(①)。
 ・治療はすすんで受けるが、持続性に乏しい(②)。
 ・早期に症状に変化が見られないと治療から離れる場合がある
  (②)。
 ・体重を維持するには同年齢正常者の75%のカロリー摂取でよ
  い(②)。
 ・集団精神療法が有効(②)。

<ヨーガ療法のかかわり>
 ・マインドフルネス(今ここに)の状態をつくり、不安感を軽
  減させる。
 ・アーサナプラナーヤーマによる心身の客観視により、
  今に集中させる。
 ・ヨーガの智慧により、認知の歪みを自覚する。
 ・瞑想により、自己内省をはかり認知を変容させる。
 ・ヨーガカウンセリングにより、家族や対人関係の整理をす
  る。