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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.大学生アスリートにおける非接触型足関節外側捻挫の内因性予測因子

Intrinsic Predictive Factors of Noncontact Lateral Ankle Sprain in Collegiate Athletes
A Case-Control Study

Takumi Kobayashi, MSc, PT, Masahiro Yoshida, MSc, PT, Makoto Yoshida, PhD, PT, and Kazuyoshi Gamada, PhD, PT
Investigation performed at Hokusho University, Hokkaido, Japan

大学生アスリートにおける非接触型足関節外側捻挫(以下、LAS)の内因性予測因子

<対象>
・18歳から22歳の大学生インカレ選手191名。
・バスケットボール男性13名、バトミントン男性17名、女性16名、バレーボール女性17名、サッカー男性39名、野球男性89名。

<評価項目>
1)weightbearing dorsiflexion range of motion (ROM):荷重時背屈可動域
2)leg-heel angle:下腿踵骨角
3)foot internal rotation angle in plantar flexion:足内旋(底屈位)
4)classification according to the mortise test:背屈位での骨安定性テスト
5)navicular–medial malleolus (NMM) distance:舟状骨-内果距離

<結果>
・169名中(男性145名、女性24名)125名(74%)に捻挫の既往歴あり。
・11ヶ月の観察期間中に16名(9.47%)の非接触型LASが生じた(初回4名、再発12名)。
・障害発生率、0.58/1000 athlete-exposures。
・NMM distanceが4.65cm以上では、初回時LASの発生が4.14倍高い。
・weightbearing dorsiflexion ROMが49.5°以上では、再発LASの発生率が1.12倍高い。

<結論>
・NMM距離は初発の非接触型LASを予測する。
・荷重時の背屈角度は再発の非接触型LASを予測する。

<考察>
1)NMM距離は初発の非接触型LASを予測する
・最大背屈時のNMM距離が4.65cm以上では、初回非接触型LASの予測因子となる。
・NMMが大きいということは、背屈に伴い距骨内側面が大きく前方にシフトすることを意味する。
・これは、背屈最終域付近での距骨の外旋を意味し、距腿関節のすべり運動は背屈最終域付近で内側で制限されていると示唆される。
・これにより距腿関節での骨の適合性が低下するため、初回LASの発生が高まると考えられる。
・距骨の後方すべりの改善がCAIの機能回復に効果的との報告もあり(Vicenzino-2006、Hoch-2012)、距骨の後方の滑りを正常化すことはLAS発生率を低下させるかもしれない。
・NMM距離は、その周囲の皮膚やアキレス腱、屈筋支帯などの柔軟性を向上することで改善できると考えられる。

2)荷重時背屈角度は再発の非接触型LASを予測する
・背屈角度の低下がLASのリスクファクターとの報告がある。
・背屈角度が少ない(34°)とLASのリスクが平均的な背屈角度(約45°)に比べ5倍高くなる(1998-Pope)。
・膝の伸展が増加する間の足背屈の減少は、LASのリスクになる(2005-Willems)。
・しかし、今回の結果では、平均的な荷重時の背屈ROMはLASのリスクは低かった。
・LASは、軽度の底背屈間で生じるという報告もあり(Fong-2012、Mok2011)、LASが背屈時に生じる可能性も考慮する必要がある。

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とてもよい文献で、感銘しました。
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