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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

第12回 東京スポーツ整形外科研修会

4月13日は、第12回 東京スポーツ整形外科研修会に行ってきました。
5時間足らずの時間に、スポーツ整形外科、スポーツビリテーションでは著明な9人の先生の講演が駆け足であり、贅沢な研修会です。


プログラム1「スポーツ選手の肩痛」

①不安定症
コリジョンアスリートの肩痛では、不安定感を訴えない不安定症がある。
②腱板断裂
・投球障害における腱板断裂は、腱板機能不全の改善が必要。
・特に棘下筋の下垂位、thumb down、zero positionでの外旋機能が重要。
・手術適応は、断裂部が深くて大きく、腱板機能不全が残存いる場合だが、完全復帰には2年かかる。
③肩の動き
・肩甲帯の追従機能が重要。
・肩の動きに関しては、肩甲上腕関節(GHJ)の動きだけでは不十分、肩甲骨の動く範囲だけでは不十分で、肩甲骨面(関節窩)の向きを調整できる機能が重要。
・上腕骨に対して肩甲骨(関節窩)の面を調整し、次に肩甲骨の動ける範囲を広げることで上腕の動きが安全な範囲が確保され肩は守られる。


プログラム2 「スポーツ選手の膝痛」

④オスグッド・シュラッター病
・小中学生(平均12.5歳)のサッカー選手では、蹴り足22%、軸足44%で軸足が多い傾向。
大腿四頭筋の遠心性収縮の力が強い選手の方が生じやすい。
⑤半月板損傷と軟骨損傷
・従来切除術を行っていた半月板の無血行野(w-w zone)の横断裂、水平断裂に対しても、OA変化の予防の観点などから、Fibrin clotなどを用いて縫合術を行っている。
・水平断裂に対しては、スポーツ復帰が部分切除145日、縫合術208日。復帰率が部分切除71%、縫合術83%であった。


プログラム3 「スポーツ選手の鼠径部痛」

⑥鼠径部痛
・鼠径部周辺部痛に関しては、肩甲帯、下肢、体幹の機能不全が要因となっていることが多い。
・股関節外転機能の低下、股関節外旋拘縮、繰り返しの股関節屈曲-内転運動などが要因となる。
・器質的な要因としては、骨関節要因としてのPincerやCAM、下前腸骨棘の突出などがあり、鏡視下による手術の適応となる。
⑦股関節鏡視下手術
・PincerやCAMなどによるFAI(股関節インピンジメント)が適応となるが、Hip OAやBMI30以上だと成績不良になり適応にならない。
臼蓋形成不全に対する鏡視下手術も成績不良例が多い。
⑧診察の心構え
・痛みを訴えて来るクライアントに対して尊敬と同情の念を持って接すること。
エビデンスに基づいた情報を提供し、クライアントが選択できるようにすること。

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③肩の動き
・肩甲骨面の向きを調整する機能は、GHJの動きといってもよさそうですが、いま一つ違いが理解できませんでした。
④オスグッド・シュラッター病
・軸足の大腿四頭筋の遠心性収縮となると、キック動作の振り上げた時やフィニッシュ後の影響が大きそうです。これらの時に、上半身重心が後方にいかない姿勢をとることが大切かと思われます。また、下腿三頭筋の遠心性収縮の機能が補助的に役立つかもしれないと思いました。
⑥鼠径部痛
・キック動作においては、肩甲帯との連動もかなり重要のようです。また、サッカー選手といえども意外と股間節外転や外旋の機能が落ちている場合があるので、しっかりとチェックする必要があります。