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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

第12回日本ヨーガ療法学会研究総会

第12回(社)日本ヨーガ療法学会研究総会

平成26年7月4日
「運動による認知症予防の可能性」島田裕之 先生
「口腔から見たヨーガ療法」木全信之 大会長
認知症にならないための決定的予防法」ヴィンセント・フォーテネイス 博士

平成26年7月5日
「運動器を動かさないことによる慢性痛のメカニズムと疫学」牛田享宏 先生
QOLを支える自律神経」間野忠明 先生

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認知症
・危険因子:遺伝子、老年症候群(鬱、転倒、不活動、コミュニケーションの減少など)、生活環境、社会-経済状態。
・保護因子:教育レベル、食事、運動、活動的なライフスタイル。
・予防方法:
エピソード記憶」:前日や前々日のことを日記に書くこと。
「注意分割機能」:料理や料理をする際により時間を短くするように努力する。
「計画力」:旅行の計画、囲碁、将棋、麻雀、買い物を効率よく行うこと。

<MIC(Mild Cognitive Impairment;軽度認知機能障害)>
・物忘れの訴えがあり、加齢に伴う記憶障害の範囲を超えた記憶障害が存在するものの、全般的な認知機能、日常生活動作は保たれ認知症とは呼べない状態。
・70-90歳では、正常者の2年後の認知症発症は1.1%であるのに対して、MCIではその4-8倍となる。
・しかし、軽度のMCIでは30-40%は正常に戻るため、軽度MCIレベルでの予防が必要である。
・まずは、着替えて外出することから。それに、運動や知的な活動が加わるとなおよい。

アルツハイマー病>
・危険因子:女性、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、ストレス、肥満、運動不足、睡眠不足、炭水化物の多い食事。アメリカの調査によると身体的な不活動と最も密接な関係があるとされている。
・ストレスなどによりコルチゾールの濃度は高くなると、シナプスの変性を引き起こし、物忘れの要因となる。
アミロイドβが蓄積されていても、海馬が保たれていれば発症しない場合があり、海馬の萎縮を防ぐことが重要。
・運動によるBDNF(脳由来神経栄養因子)の増加が、海馬容量の増加に関与していると考えられている。
有酸素運動、筋力運動と一緒に頭も使うと効果的。
・isometric exは、ストレスホルモンであるコルチゾールが減少し、インスリン様成長因子(IGFなど)、ドーパミンセロトニンなどが放出され、脳ではシナプスの可塑性が高まる。

<慢性痛>
・過度な安静(不動、不活動)や、怒り、恨み、疾病利得などが関与する。

<自律神経>
・調節には呼吸が有効。
・ゆっくりとした腹式呼吸は、精神を安定させるセロトニンが増加する。

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認知症に関しては、本人はもとより家族の介護負担や経済的な負担も大きくなります。
発症を2年遅らせることが出来れば、社会保障費は少なく見積もっても1兆円は削減出来るとも言われており、健常時やMICの早期から予防を行うことが社会的にも重要になってきます。

認知症の因子となるストレスの除去や予防効果
慢性痛の因子となる怒りや恨みなど
痛みや不安などによる自律神経異常
に対してヨーガ療法は有効ではないかということです。

しかし、まだ客観的な検証やデータが不足しているのが現状でこれからの課題となりそうです。