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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.変形性股関節症患者の臼蓋形成不全は腸腰筋の筋萎縮と関連する

【0526、南角学ら変形性股関節症患者の臼蓋形成不全腸腰筋の筋萎縮と関連する、第49回日本理学療法学術大会(横浜)、2014.】


【対象】

・片側の変形性股関節症患者 44 名(男性 6 名,女性 38 名)をCE角で以下の2群に分類。

1)A群(CE角20°未満):24名(年齢61.1±8.6歳、BMI:22.0±3.6)

2)B群(CE角20°以上):20 名(年齢65.9±10.7歳、BMI:23.0±3.0)

 

【測定項目】

・CE角、脚長差、股関節周囲筋の筋断面積(患健比)

 

【結果:A群/B群】

1)有意差あり

・脚長差:23.9±9.9mm/8.3±5.5mm

・梨状筋:60.8±14.5%/83.1±13.6% 

腸腰筋:62.2±10.5%/83.2±12.7% 

・中殿筋:65.0±12.7%/84.6±8.3% 

変形性股関節症患者 の臼蓋形成不全と関連する因子:脚長差と腸腰筋の筋萎縮。

2)有意差なし

・大殿筋:76.3±11.0%/83.1±8.4% 

・膝関節伸展筋力:1.31±0.56Nm/kg/1.28±0.62Nm/kg

 

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CE角が少ない症例では、脚長差が大きく、健側に対する筋断面積も低下している。

脚長が短くなり起始と停止が近づき短縮位となった筋への影響が大きいと考えられる。

 

脚長差が2cmくらいまでは、1cmで約20%の筋断面積(筋力)の減少が生じているのは興味深い所です。

 

構造的な問題を、どこで代償させて負担を軽減させていくか?

しかも、代償なので結局はそのしわ寄せはどこかにいく。

その落としどころが個人差もあり難しい所です。


CE角:大腿骨頭中心と臼蓋外上縁(臼蓋嘴)を結ぶ線と、垂直線のなす角度。25°以下を臼蓋形成不全