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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

変形性膝関節症における膝関節筋の機能

【0597:変形性膝関節症における膝関節筋の機能、齊藤明、第49回日本理学療法学術大会(横浜)、2014.】


<膝関節筋>

・中間広筋の深層に位置し、大腿骨遠位前面を起始、膝蓋上包(嚢)を停止とする筋。

・作用は膝関節伸展時に膝蓋上包(嚢)を牽引、挙上するとされる。

・機能不全が生じると膝蓋上包(嚢)の挟み込みにより拘縮の原因になると考えられている。


<対象>

・膝OA群:変形性膝関節症患者17名24肢(平均年齢72歳)

・高齢群:健常高齢者50名100 肢(平均年齢69歳)

・若年群:健常大学生16名32肢(平均年齢22歳)


<方法>

・膝関節屈曲30°位での最大等尺性膝伸展運動時の膝関節筋筋厚、膝関節筋停止部移動距離を超音波診断装置で測定。


<結果:膝OA群/高齢群/若年群>

1)安静時の膝関節筋筋厚

・1.86±0.20mm/2.02±0.11mm/2.21±0.17mm

・膝OA群は、高齢群、若年群より有意に低値。

・高齢群は、若年群より有意に低値。

2)膝関節筋筋厚の変化率

・32.19±16.89%/72.42±12.27%/124.61±35.13%

・膝OA群は、高齢群、若年群より有意に低値。

・高齢群は、若年群より有意に低値。

3)膝関節筋停止部移動距離

・4.86±2.46mm/高齢群9.67±2.74mm/10.44±2.65mm

・膝OA群は、高齢群、若年群より有意に低値。

・高齢者と若年者では差なし。

4)膝OA群の膝関節筋の筋厚変化率、停止部移動距離

・膝伸展ROMとの間に有意な正の相関。

・VASとの間に有意な負の相関。

・K/L分類との間にも有意な負の相関。


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変形性膝関節症では、膝関節筋の萎縮や機能低下が認められ、膝伸展可動域、痛み、変形性関節症の程度とも関係があるようです。


変形性膝関節症による膝伸展制限などに伴い、二次的に膝関節筋の萎縮や機能低下が生じていると考えられます。


膝関節筋の機能改善には、他動的にしっかりと伸展を出して、自動的に収縮を促していくことが必要で、伸展がしっかりでないと厳しいかも知れません。