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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.Hip OAに罹患してTHAを受けた患者の身体機能や活動に術前および術後の運動介入が及ぼす影響

変形性股関節症に罹患して人工股関節置換術を受けた患者の身体機能や活動に術前および術後の運動介入が及ぼす影響ーランダム化比較試験に対するシステマティックレビューおよびメタアナリシスー:梅原拓也ら、理学療法学41(3)、2014】

 

<方法>

人工股関節置換術患者に対する運動介入の影響を調べたランダム化比較試験(RCT)を収集し、データを統合し判定。

 

<術前の運動介入による効果>

・有意な効果なし:術後の疼痛、股関節外転ROM、WOMAC。

・有意な効果あり:術後のHarris Hip score(HHS)、歩行、階段昇降、トイレ移乗、椅子移乗開始日の短縮。

 

 

(Rooks-2006、Gocen-2004、Berge-2004、Ferrara-2008、Vukomanovic-2008)

 

<術後の早期運動介入による効果>

・有意な効果あり:股関節外転筋力、最大酸素摂取量、歩行率

・有意な効果なし:疼痛、歩行速度

 

 

(Munin-1998、Jesudason-2002、Hesse-2003、Grange-2004、Suetta-2004、Unlu-2007、Husby-2010、Liebs-2012)

 

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術前の運動介入は術後のHHS、ADL動作の開始日の短縮に効果があるようです。

HHSは、疼痛(44点)、機能(47点)、変形(4点)、可動域(5点)からなっており、上記の結果から、疼痛や可動域でなはく、機能(歩行能力やADL動作)の改善の割合が大きかったのではないかと考えられます。

 

術後の早期運動介入には、股関節外転筋力、最大酸素摂取量、歩行率が改善しています。

疼痛は手術による改善の割合が大きく、運動介入による効果は少ないようです。

 

解釈が難しい所ですが、術前の運動介入や術後の早期運動介入は、やっておいて損はないという感じでしょうか。

 

変形性股関節症は、変形性膝関節症に比べると、解剖学的な因子による影響が大きいように感じます。どれくらいの状態で手術を行うかということも、術後のADLレベルなどを決める上で重要な要因になると思われます。