上腕骨内側上顆炎4).
上腕骨内側上顆炎4)
<関連筋>
・円回内筋(PT)、橈側手根屈筋(FCR)、長掌筋(PL)。
・まれに、尺側手根屈筋(FCU)、浅指屈筋(FCU)。
PT :上腕二頭筋腱膜、腕橈骨筋に覆われ、筋腹や腱膜は薄い。
正中神経が通過。
FCU:細長い筋で、前腕の中部で長く平たい腱になる。
PL :細長い紡錘状の筋で、筋腹は短く、腱は薄くて長い。
FCU:筋腹は薄く、腱の尺側に存在。尺骨神経が通過。
FCU:PT、FCR、PL、FCUの深部に存在し、直接の触診は困難。
正中神経、尺骨動脈が通過。
<理学療法>
1)関連筋の柔軟性や筋緊張の改善
・スタティックストレッチ:痛みの部位に伸張ストレスを生じさせる可能性がある。
・ダイレクトストレッチ:細長い、覆われている、神経が走行などの特徴によりいがいとうまくいかない。
・該当筋に圧を加えて各運動(回内外、掌背屈、橈尺屈など):各筋の特徴上逃げられる。
2)関連筋、連結筋の滑走性改善
・筋連結などを加味し、それぞれの筋腱間に指などを入れ各運動。
・関連筋は、すべて上腕二頭筋(BF)に筋連結があるため上腕二頭筋の柔軟性、筋緊張、滑走性も影響を及ぼす可能性がある。
3)上腕筋(BC)の柔軟性や筋緊張の改善(肘関節包のストレス改善)
・上腕骨外側上顆炎では、関節包(ST)の断裂所見も報告されている。
・上腕筋は前方関節包に付着するため、上腕筋の緊張により関節包の緊張を高め、関節包に断裂などがあった場合は痛みの要因となる可能性がある。
4)回外筋(SP)の柔軟性や筋緊張の改善
・回外筋の付着部は円回内筋付着部上方や橈骨粗面と回内筋結節の間との報告があり、回外筋の緊張は円回内筋の緊張を高める可能性がある。
・また、回外筋は外側部だが肘関節包、輪状靭帯は組織的にも一体となっており、回外筋の緊張は肘関節包の緊張を高める可能性がある(内側の痛みを説明するにはやや無理がある)。
PT:円回内筋、FCR:橈側手根屈筋、PL:長掌筋
FCU:尺側手根屈筋、FDS:浅指屈筋
BF:上腕二頭筋、AHB:短母指外転筋、FDP:深指屈筋、ADM:小指外転筋
SP:回外筋、ST:肘関節包、BC:上腕筋
参考・引用資料
・二村昭元:肘関節の解剖、第2回運動機能勉強会、2014
・永野康治:肘関節のバイオメカニクス、5thSPTS、2009.
・鈴木敏和:理学療法に必要な触診技術、理学療法25(4)、2008.
・河上敬介:円回内筋、長母指屈筋、方形回内筋、肘筋の位置や形、理学療法22(5)、2005.
・Ciccotti Michael G: Medial Epicondylitis、Techniques in Hand & Upper Extremity Surgery、2003.
・解剖学、2001.