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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.片脚立位時の体幹筋活動に関する筋電図学的研究.

浦川宰:片脚立位時の体幹筋活動に関する筋電図学的研究、運動•物理療法21(4)、2010】

 

<対象>

・健常成人12例(男性4例、女性8例、平均年齢23.9歳)。

 

<方法>

・両脚立位保持と右片脚立位保持での内腹斜筋、腹直筋、外腹斜の筋活動を測定。

体幹筋活動増加率=右片脚立位時の筋積分値/両脚立位時の筋積分値×100(%)

 

<結果>

・片脚立位時に、立脚側の内腹斜筋、両側の腹直筋、外腹斜筋の筋活動が有意に増加。

・特に立脚側内腹斜筋と遊脚側外腹斜筋の筋活動増加が顕著。

①内腹斜筋

・右片脚立位時に、右内腹斜筋の筋積分値は有意に増加し、左は有意差なし。

体幹筋活動増加率は、立脚側は遊脚側よりも有意に大きい。

②外腹斜筋

・右片脚立位時に、両外腹斜筋の筋積分値は有意に増加。

体幹筋活動増加率は、遊脚側は立脚側よりも有意に大きい。

③腹直筋

・右片脚立位時に、両腹直筋の筋積分値は有意に増加。

体幹筋活動増加率は、立脚測定と遊脚側で有意差なし。

 

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変形性膝関節症患者では腹筋群の機能低下があり、体幹や骨盤の不安定性により重心の動揺性が生じて膝関節にストレスが生じていることが考えられました。
 

今回の報告では、健常人での片脚立位の体幹筋活動の特徴が明らかになっており、立脚側内腹斜筋と遊脚側外腹斜筋の筋活動増加が顕著となっています。

片脚立位では、踵接地に一致して内腹斜筋は立脚側が片側性に増加、外腹斜筋と腹直筋は両側性に活動が持続(1999-CAllaghan)するという報告もあるようです。

 

左立脚側での不安定性があった場合では、体幹筋では左内腹斜筋、右外腹斜筋の機能低下が疑われます。

 

歩行での体幹筋の機能を評価する方法としては、片側上肢を頭の後ろに手を当てた挙上位にして歩行をみています。

側腹部が伸張位になるため、側腹筋は受動的ですが緊張が高まります。

通常の歩行に比べてこの肢位で歩行が安定すれば、体幹筋の影響もありそうだなと考えています。

左の立脚期が不安定で、左挙上位で安定すれば左内腹斜筋、右挙上位で安定すれば左外腹斜筋の機能低下から疑ってもいいのかなと思いました。