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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

大学野球投手における肩関節筋力・関節可動域の変化と投球障害肩の発生の関係

【0923:大学野球投手における肩関節筋力・関節可動域の変化と投球障害肩の発生の関係、宮下浩二、第49回日本理学療法学術大会(横浜)、2014】


<対象>

・大学硬式野球部投手14名中、健常群7名、有痛群(試合開始期の肩痛)7名


<結果:1月中旬(シーズンイン期)→2月下旬(試合開始期)>


1)外転筋力:

・健常群:106±13N→ 112±17N(6±15%)

・有痛群:114±24N→ 93±31N(-19±17%)


2)外旋筋力

・健常群:118±16N→126±16N(8±11%)

・有痛群:127±24N→104±24N(-18±12%)


3)内旋可動域

・健常群:29±8°→29±9°(1±6°)

・有痛群:24±8°→16±9°(-7±9°)


4)外旋可動域

・健常群:123±9°→118±12°(5±9°)

・有痛群:124±8°→118±5°(-6±8°)


5)外転可動域

・健常群:108±8°→101±10°(-6±6°)

・有痛群:108±4°→94±4°(-14±5°)


<考察>

・シーズン開始時の筋力、関節可動域からは試合開始期の痛みの発生予測はできないことを示唆。

・痛みを有したまま投球を継続することで、結果として痛みの増悪と筋力低下が進行する場合が多いと考えられる。


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筋力や関節可動域からはシーズン中の肩痛の発生予測はできないことが示唆され、肩周囲のコンディションを上げることが肩痛の予防にならない可能性があります。

痛みの要因に関しては、個別性が高いことが考えられ、集団的なアプローチでは予防や改善は難しいかもしれません。