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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.若年性線維筋痛症に対する集学的治療における理学療法

【0967:若年性線維筋痛症に対する集学的治療における理学療法、松宮美奈、第49回日本理学療法学術大会(横浜)、2014.】 

 

線維筋痛症

・原因不明の全身疼痛が主症状。

うつ病など精神神経症状、過敏性腸症候群など自律神経症状を随伴する疾患。

・有病率は人口の1.7%(200万人)。

・80%が女性で40-50 代に多い。

 

<若年性線維筋痛症(JFM)>

・10歳前後に多い若年性線維筋痛症(Juvenile Fibromyalgia : JFM)は4.8%。

 ・患児と母親の相互依存性、まじめ、完璧主義、潔癖主義、柔軟性欠如などコミュニケーション障害を伴う性格特性が特徴と言われている。

・集学的治療として、短期入院による母子分離、臨床心理士による心理評価、小児精神科によるカウン セリング、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液点滴静注を中心とした薬物療法リハビリテーション治療が実施される。

 

<対象>

・JFMと診断され小児科に入院し理学療法を行った39症例 (30名)。

・平均年齢  :12.2歳(7-16歳)

・平均発症年齢:12.1歳(7-15)。

・性別    :男児7例、女児32例。

・入院期間  :中央値17日(7-164 日)

理学療法期間:中央値12日(1-149)

・主症状
 :筋-関節痛39例、左上肢の慢性疼痛1例。

 

 :ほぼ全例に睡眠障害や冷感、起立性調整障害など自律神経系合併症状を認めた。

・発症の誘因

 :全例で内因性誘因あり(家族関係のストレス27例、学校関係のストレス22例)

 :外因性誘因と内因性誘因の重複が11例。

 

理学療法内容>

・独歩可能な症例:歩行練習、自転車エルゴメーターなどを実施。

・歩行困難な症例:下肢自動運動や座位・立位練習、車いす自走や歩行補助具を使用した段階的歩行練習。

・キャッチボールやサッカーなどレクリエーショナルアクティビティも随時実施。

 

<結果>

・入院中の疼痛の変化:改善28例、変化なし5例、悪化6例。

・移動能力は歩行(跛行なし)20→28例、歩行(跛行あり)9→6例、車いす移動10→5例。

 

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若年性線維筋痛症というのは、初めて聞きました。

学校や家庭でのストレス要因が大きいようで、ストレス要因から引き離すことが効果的なのでしょう。

また、育った環境などによりストレスに対する抵抗性も弱いのかもしれません。