.勤労者における抑うつ症状に関わる諸因子のパス解析モデルを用いた検討
上村一貴:勤労者における抑うつ症状に関わる諸因子のパス解析モデルを用いた検討、理学療法学42(1)、2015
<対象>
・電気機械器具製造業A社の社員346名(男性252名72.8%、女性94名27.2%)
<抑うつ症状の評価>
・日本語版Self-rating Depression Scale(SDS)。
<結果>
1)SDS
・平均値39.1±6.7点
・軽度抑うつあり(40点以上):44.5%。
2)SDSと有意な関係のあるもの
・年齢、仕事のやりがい、物的環境への気がかり、人間関係への気がかり、仕事量-負担への気がかり、ストレス、睡眠時間、移動の身体活動習慣、余暇の身体活動習慣、運動セルフエフィカシー、筋骨格系疼痛。
3)抑うつ症状への影響あり
・人間関係への気がかり、筋骨格系疼痛→抑うつ症状
・人間関係への気がかり、筋骨格系疼痛→ストレス、仕事のやりがい→抑うつ症状
3)抑うつ症状との関連なし
・VDT(コンピューターを利用した)作業、深夜勤務、仕事中の身体活動
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勤労者では、一般的に4-5割で軽度の抑うつ状態にあるようです。
勤労者の多くが日常生活を楽しめていないんですね…
<SDS40点以上で軽度の抑うつ性あり>
・54%(169名中) :介護施設職員(原田-2013)。
・55%(2992名中):123の事業場の労働者(原田-2009)。
・39.6%(471名中):化学品会社の従業員(横田-2007)
・43.5%(225名中):機械製造業の勤労者(渡邊-2002)。
抑うつの要因としては、人間関係や筋骨格筋疼痛の影響が大きく、余暇中の身体活動が抑うつ状態の緩和に有効のようです。
そして、カウンセリング等による症状改善の効果量は小さい(Martin-2009)とのこと。
身体活動による効果としては、セロトニン、ノルアドレナリン、エンドルフィンの増加による精神安定、運動継続に伴う達成感や自己効力感、社会的交流によるものが考えられています。
余暇に運動をしましょう。
一人でやるものより、他者との交流があるものがより良さそうです。
しかし、終わった後の食事会や飲み会などが煩わしい人(自分はどちらかというとこのタイプ)は、何かのスクールなどに入るのがいいのかもしれませんね。