.高齢者におけるうつ症状と認知機能 BDNFと脳萎縮との関係
【1365:高齢者におけるうつ症状と認知機能 BDNFと脳萎縮との関係、島田裕之、第49回日本理学療法学術大会(横浜)、2014.】
<対象>
・65歳以上の地域在住高齢者4352 名(平均年齢71.7±5.3歳、男性2085名、女性2267名)。
・除外基準:アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中の既往歴を有する者、要介護認定を受けていた者、基本的日常生活動作が自立していない者。
<評価項目>
1)うつ症状:geriatric depression scale-15項目版(GDS-15)
2)認知機能検査:National Center for Geriatrics and Gerontology-Functional Assessment Too(l NCGG-FAT)
3)記憶検査:単語の遅延再生と物語の遅延再認
4)実行機能:改訂版 trail making test_partB(TMT)、symbol digit substitution test(SDST)
5)神経栄養因子:脳由来神経栄養因子(brain!derived neurotrophic factor : BDNF)
<群分け>
・うつ症状群 (570名):geriatric depression scale-15項目版(GDS-15)6点以上のもの。
・うつ症状なし群(3695名):1)、2)以外。
<結果>
・単語遅延再生、TMT:うつ症状群は、症状なし群に比べて低値。
・物語遅延再生、SDST:うつ病群は、症状なし群に比べて低値。
・BDNF→うつ症状群、うつ病群は、症状なし群に比べて低値。
・右の内側側頭領域の萎縮:うつ症状あり群は、症状なし群に比べて有意に萎縮。
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うつ病は認知症の危険因子の一つであり、アルツハイマー型認知症では2.34倍、とくに60歳以前に発症した方は3.76倍との報告もあります。
うつ病による、不眠、運動不足、食事内容の低下、社会活動の低下が関与していると考えられます。
アメリカの調査でも、運動不足に次いで2番目の要因となっています。
「運動不足1115万人、うつ病781万人、喫煙574万人、高血圧425万人、肥満386万人、低学歴386万人、糖尿病174万人(Barnes-2011)」
軽い有酸素運動などが継続してできるといいのですが。
BDNFに関しては
【BDNF:脳由来神経栄養因子】
【うつ病 ストレスホルモンとBDNF】
参考文献
中谷一泰:ストップ!認知症―しくみがわかれば予防ができる!、2014
島田裕之:体を動かしながら、脳を鍛える! 認知症予防の簡単エクササイズ