.腰椎椎間板ヘルニア患者の症状側と非症状側における除脂肪多裂筋断面積の検討
【1499:腰椎椎間板ヘルニア患者の症状側と非症状側における除脂肪多裂筋断面積の検討、井所和康、第49回日本理学療法学術大会(横浜)、2014.】
<対象>
・L4/5間の腰椎椎間板ヘルニアと診断された24名(男性18名、女性6名、平均年齢28.3±4.8歳)。
・平均罹病期間13±29ヶ月。
・主訴:腰臀部痛と一側性の神経根症状。
・除外基準:二椎間以上の腰椎椎間板ヘルニア、両側性の下肢症状、脊椎に手術既往のあるもの。
<結果>
1)除脂肪多裂筋断面積(mm2/kg ):症状側/非症状側>
・L3レベル: 8.77±2.52/ 8.63±2.61
・L4レベル:10.60±1.45/11.19±1.96
・L5レベル:11.30±1.92/12.00±1.93
※有意差なし
2) 症状側の除脂肪多裂筋断面積が萎縮していた割合
・L3レベル:50.0%(24例中12例)
・L4レベル:70.8%(24例中20例)※有意差あり
・L5レベル:91.7%(24例中21例)※有意差あり
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腰痛の多裂筋、頚部痛の頚部多裂筋、膝痛の内側広筋など関節周囲の痛みに伴い萎縮する筋があります。
筋の働きを低下させ、関節周囲の動きを制限させるのかもしれません。
【多裂筋と腰痛の関係】
これ以降の報告では、慢性腰痛患者ですが、
・L4-5レベル近傍の腰部多裂筋が関節由来の痛みによる疼痛性抑制反射(reflex inhibition)により萎縮、脂肪化(Kjaer-2007、Hides-2008)。
・1年以上続いている慢性腰痛患者では、健常者に比べL4の上部、下部での多裂筋の筋断面積が有意に小さい(Kamaz-2007) 。
・腰痛側の傷害された椎間板や関節包の分節レベルと同じ高位の腰部多裂筋の断面積が減少(Macintosh-1986、Hides-1994)。
【多裂筋:萎縮VS運動療法】
・脊柱安定化exerciseにより腰痛患者の腰部多裂筋断面積が肥大(Danneels-2001)。
参考文献
・ヒトの動き百話―スポーツの視点からリハビリテーションの視点まで、2011
・村尾昌信:腰部多裂筋の選択的活動をコンセプトとした新たなexerciseの筋電図学的解析、理学療法学42(2)、2015