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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

脳卒中理学療法診察ガイドライン

「吉尾雅春:脳卒中理学療法診察ガイドライン理学療法学42(3)、2015」より


【グレードA】


1)早期理学療法

・早期離床につながり、機能障害やADLの有意な改善が得られる。

・早期の電気刺激療法は上肢の機能改善に有効。


2)運動療法

・下肢に重点をおいた運動療法ではADLが、上肢に重点を置いた運動療法では巧緻性が得られる。

・麻痺側、非麻痺側の抵抗運動はそれぞれの機能改善を得ることができる。

有酸素運動は、最大酸素摂取量を向上させ、歩行能力も改善。


3)歩行練習

・集中的に多く行った群は、従来の方法で行った群よりも歩行速度が速く、運動機能やADLも差が見られた。

・従来の運動療法を行うよりも、早期に多くの歩行練習を行う方が効果的。

・歩行速度と関係があるのは、全体の治療時間ではなく、歩行練習にかけた時間の長さ。

・努力性の歩行が減少し、エネルギー効率が良くなることから、装具を用いた早期の積極的な歩行練習も推奨。


4)集中的なチームアプローチ

・一般的にな病棟で行うよりも死亡率が低く、ADLの改善も急速で、退院時のADL、1年後の機能面でも差が見られた。


【グレードB】


1)電気刺激療法

・経皮的電気刺激は、上肢の痙縮を軽減したり、運動療法との併用で歩行能力の改善につながる。

・足関節背屈を誘発するため治療的電気刺激を用いた結果、背屈角度が改善。

・筋電誘発型電気刺激装置で筋の抵抗が減少し、歩行速度も増加。

・機能的電気刺では、足関節の可動域、筋出力、歩行能力に改善が見られる。

  →効果が即時的で持続性がないという指摘もある。


2)持続性伸張運動

・関節運動に対しては、治療後、多少の効果を認めるが、ストレッチ後の効果はほとんど認めず、疼痛、痙縮、運動制限に対する効果を認められていない。


3)運動障害に対する理学療法

・ボバース法の特別な効果を否定。

・認知運動療法については判断する論文が存在しない。


4)半側空間無視

・プリズムによる学習効果は良好


5)肩関節障害に対する理学療法

脳卒中患者の肩関節の痛みや可動域制限の主たる原因は明確ではないが、癒着性関節包炎が大半を占める。


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可及的早期に、できるだけ長く、必要ならば装具を用いて歩行練習を行うのが良さそうです。


整形疾患でもそうですが、シンプルで簡単なことが最も効果的だったりすることがあります。


でも、それだと専門職は困ってしまうんで、難しく考えてしまいがちになってしまいます。


主観的な訴え、客観的な評価、クライアントの性格、社会的環境など色々加味して、何が最善策なのか?


全く同じ症状も、同じ人もいないので、シンプルで良かったり、難しいことの学習が必要だったり、経過観察するだけで良かったり、全く同じ理学療法がないのが面白いところ。