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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.大内転筋

【大内転筋:adductor magnus】

 

<起始-停止>

・坐骨下枝(内転部、前方線維)

・恥骨下枝(内転部)

・坐骨結節(膝腱部、後方線維)。

 

<停止>

・大腿骨:粗線、殿筋粗面、内転筋結節(膝腱部)、内側顆上線。

 

<解剖>

・内転筋群の中で最も大きく、坐骨下枝から扇状に広がる。

・内転部と膝腱部の間に、内転筋裂孔があり大腿動静脈が膝窩に向かう。

 

<筋連結>

・外側広筋、内側広筋、長内転筋、薄筋、短内転筋、小内転筋、中間広筋、大腿方形筋、大腿二頭筋短頭、半腱様筋、半膜様筋、腓腹筋

・膝窩筋(関節包を介して)

 

<作用>

1)内転

2)伸展

・屈曲0°以上で伸展筋に変化。

・屈曲角度が増加すると大殿筋よりも大きな伸展トルクを発揮。

3)屈曲

・伸展20°で屈曲トルクが生じ、屈曲角度が増すにつれて減少。

4)内旋

5)外旋

 

<機能>

・体重負荷時の矢状面での腰椎骨盤領域の支持。

・立位や立脚初期の安定性。

 

<腰痛>

・内転筋群の抗重力機能では、明らかな弱化がみられた。

 

<Trigger point>

・上部では、骨盤内の痛みが生じる。

・中部では、鼠径部から膝にかけて生じる。

・外転や屈曲で増悪。

・階段の上り、乗馬、スキーのターンなどのoveruse。

 

 

 

 

①上部線維:

内側線維、前部線維、内転部、筋性部

②中部線維:

内部線維

 

③下部線維:

外側線維、後部線維、膝腱部、ハムストリングス部、腱性部

④最下部線維

 

起始

坐骨下枝

恥骨下枝

 

坐骨結節

 

停止

大腿骨:最も近位

 

大腿骨粗線の最も遠位

内転筋結節

大腿骨:遠位1/3

走行

水平

下方かつ外側方に向かう

 

ほとんど垂直に下る

特徴

短い

大腿二頭筋の短頭と筋膜で連結

内側広筋の起始(腱性部)

 

神経

閉鎖神経:

L2-4

閉鎖神経:L2-4

坐骨神経:

L4-S1

 

作用

内転、屈曲、回旋

 

伸展、外旋

 




参考文献

 

 

 

 

 

 

 

・市橋則明:股関節の動きを運動学視点から考える、理学療法学38(8)、2011.

・市橋則明:骨格筋研究-臨床におけるこれからのチャレンジ-、理学療法学37(8)、2010.

・平野幸伸:理学療法に必要な触診技術-骨盤-大腿筋(3)、理学療法25(9)、2008.

・中野隆:末梢神経系の機能解剖(7)、理学療法24(6)、2007.

・鈴木俊明:The center of the Body、2005

・解剖学、2001.

・新・徒手筋力検査法、2000.

・KAPANDJI:関節の生理学Ⅱ下肢、1998. 
・河上敬介:骨格筋の形と触察法、1999. 

 

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特徴として、筋連結が多いので、大内転筋の萎縮(弛緩)や過緊張は、多くの筋の筋長に影響を与え、色々な問題を起こしている可能性があります。

 

骨盤を艇体とした、ヨットを逆さにしたような形状になっており、下肢の内転よりも骨盤の安定性や方向性を決めるのに働くことが多いのかもしれません。

 

また、上部線維と下部線維は、走行、神経支配、作用などから、ほとんど別の筋のようです。

骨盤内の痛みが、大内転筋上部のトリガーポイントの可能性があるというところも興味ふかいところです。