.「大後頭神経の走行および圧迫・伸張部位について」
【1613:大後頭神経の走行および圧迫・伸張部位について ―1例の肉眼解剖学的観察から得られた知見ー、上田泰久、第49回日本理学療法学術大会(横浜)、2014.】
<方法>
・80歳代男性の解剖用遺体1体を対象。
・右大後頭神経の走行について肉眼で詳細に観察。
<結果:右大後頭神経の走行について深層から表層の順に記述>
1)下頭斜筋迂回部(右下頭斜筋を迂回する部位)
・下頭斜筋の下を迂回。
・大後頭神経と下頭斜筋間に介在する結合組織は少ない。
・下頭斜筋迂回部から出た大後頭神経は、鋭角に走行を変えて頭半棘筋深層に入り込み筋表層へ出現。
2)頭半棘筋貫通部(右頭半棘筋を貫通する部位)
・大後頭神経と頭半棘筋間に介在する結合組織は殆どなく、大後頭神経は頭半棘筋を貫通。
・大後頭神経を前後に動かすと、頭半棘筋の中で容易に移動する。
・頭半棘筋を出た大後頭神経は、僧帽筋を貫通して皮下の頸筋膜の表面に達する。
・大後頭神経が結合組織で密に固定されており大後頭神経を容易に移動させることはできない。
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・頸椎由来の頭痛(後頭部)の一つには、大後頭神経の圧迫や伸張によるものが考えられる。
・大後頭神経が圧迫や伸張されやすい要因としては、
①下頭斜筋の迂回後の鋭角な走行や介在組織が少ない
②僧帽筋起始部での線維性の固定
③頸椎の運動に伴う形態変化が大きい
・特に頸椎の過伸展では下頭斜筋迂回部で軸椎椎弓に押し付けられ損傷をきたすものと考えられる。