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整形外科クリニック理学療法士のひとり言。読んだ本、理学療法、サッカー観戦などとりとめなく

.踵骨隆起の形態と骨支持点について

【O-0113:踵骨隆起の形態と骨支持点について、壇順司、第50回日本理学療法学術大会(東京)、2015.】

 

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1)エコーでの計測

 

<対象>

・健常人54名(男26名、女28名)、左右108踵部(年齢20.9±0.6歳)

 

<結果>

1) 右床-踵骨隆起の内側突起間:10.2±2.1mm

2)右床-踵骨隆起の外側突起間:15.9±2.7mm

3)左床-踵骨隆起の内側突起間: 9.8±1.9mm

4)左床-踵骨隆起の外側突起間:15.2±2.6mm

※左右とも踵骨の内外側突起間には有意差あり。

※体重と内側突起、外側突起までの距離に有意な相関

 →体重が重くなると床から内外側突起までの距離は長くなり、軽いと短くなった。

 

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2)乾燥骨標本の計測

 

<対象>

・踵骨19個(右7個、左12個)、全例男性、年齢(57.2±14歳)。

 

5)内側突起高率:2.11±0.1(42.4±4.7mm)

6)外側突起高率:1.99±0.2(40.1±4.7mm)

※内側突起が有意に長い。

7)立位内側突起高率:1.29±0.1(37.8±5.2mm)。

8)立位外側突起高率:1.11±0.1(32.3±5mm)

※内側突起が有意に長い。

 

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・踵骨外側突起は内側突起より頭方に位置し、骨支持点になることはなく、静的立位時は、軟部組織を介して内突起が骨支持点になっているようです。

 

・筋の付着部も母趾外転筋、小趾外転筋、短趾屈筋、足底方形筋と内側突起の方が多く、足趾運動の支点にと考えられています。

 

・実際に外側突起と内側突起で立ってみると、内側突起で立った方がアライメントや筋活動でしっくりくる感じはします。内側突起を意識させて立位をとるエクササイズも有効かもしれません。

 

・たしか2012年の報告では、「通常の静止立位では踵骨隆起の外側突起が接地している」でしたので、新しい知見となっています(間違っていたらすみません)。

 

参考文献

・壇順司:足関節の機能解剖、第47回全国学術研修大会、2012.

・壇順司:足関節の機能解剖、理学療法学40(4)、2013.