.腰椎すべり症患者の体幹筋断面積および脂肪変性
【O-0124: 腰椎すべり症患者の体幹筋断面積および脂肪変性、赤宗一輝、第50回日本理学療法学術大会(東京)、2015.】
<対象>
・慢性期の腰椎すべり症患者28例(男性12名、女性16名、平均年齢70.6±8.7歳)。
<結果>
・ODI:Oswestry low back pain disability index(ADL障害の指標)
1)有意な相関なし
・多裂筋、最長筋、長肋筋、大殿筋の筋断面積
⇄年齢、ODI、腰痛、殿部-下肢痛、痺れ
・多裂筋、最長筋+腸肋筋の脂肪変性
⇄ODI、腰痛、殿部-下肢痛、痺れ
・大殿筋の脂肪変性 ⇄ 年齢
2)有意な正の相関あり
・多裂筋、最長筋+腸肋筋の脂肪変性 ⇄ 年齢
3)有意な負の相関あり
・大殿筋の脂肪変性 ⇄ ODI、痺れのVAS
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慢性期の腰椎すべり症では、脊柱起立筋群ではなく大殿筋に脂肪変性が生じ、それがADLや痺れに影響する可能性があるようです。
実際、高齢者の殿部-下肢痛では、同側の大殿筋の萎縮が認められることが多く、その改善に伴い症状も改善することがあり、大殿筋の機能障害はうなずけます。
この大殿筋の萎縮および機能低下は、末梢神経の圧迫によるものというより、反射抑制によるものと感じています。
今回の報告では、量的な筋断面積の低下は認められていませんが、質的な脂肪変性は生じているようです。
慢性期ということが関係しているのかもしれません。
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